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ウィーン 佳奈ピアノ塾【初めてのレッスンの流れ】
こちらの新学期は9月です。
ですのでピアノの新入生も多い時期です。
今日はピアノ塾での初めてのレッスンの様子を書いてみます。
私は音大生時代から教えていますが、昔はわからないことがたくさんありました。
20歳の自分に助言するつもりでまとめてみます。
新しい先生のご参考にでもなれば、と思います。
ごあいさつとスモールトーク
可愛い6歳の女の子が、今日の顔合わせを楽しみに
お母さんとやってきてくれました。
子供は今日のこのはじめのレッスンをとても楽しみにしていたはず。
と同時に「どんな先生かしら?」と不安の気持ちもとても大きいです。
- できるだけ笑顔で、そして
- オドオドしないこと。
- 不必要にエラソーにしないこと。
初めから舐めてかかってくる子供はいません。 - ゆっくりと話すこと。
「お名前は?歳は?ピアノはどうして始めたかったの?」
等々、むずかしくない話題でコミュニケーションをとります。
ピアノに向かう
そして、ピアノに向かいます。
グランドピアノの蓋を開けて、大まかにどうして音が出るかを説明します。
みんな目を輝かせてのぞきこみます。
ピアノの座り方と姿勢
そしてどうやってピアノの前に座るかを説明します。
- 足が地面についていること、
- 猫背にならないこと、
他にもたくさんありますが、絶対に譲れない2つをまず教えます。
このふたつは初日も、そして毎回のレッスンでも何度も注意します。
生徒の姿勢がだれるとレッスン自体も崩れてきます。
これはピアノもヴァイオリンも同じ。
ピアノの指番号
次は指番号を教えます。
- 親指から1、2、3、4、5だよ、と教えます。
- 両手を広げさせ、「はい、1の指はどれ?」
と言って、パタパタさせます。 - これをできるまで繰り返す。
遊びのようで子供は喜んでやってくれます。
ピアノにタッチ
その次はいよいよ鍵盤にタッチします。
座らせます。
さっきの姿勢の注意事項を確認します。
「何を気をつけなければいけないんだったっけ?」
出来ていなかったら、
「あら大変!!!何かが間違ってる!!どこが悪いと思う?」
と大袈裟に言って、訂正させます。
「あ〜足が地面についていなかった!」
と気がついたら、
「素晴らしい!!!ブラボー!!!」
と言って大げさに褒める。
アホくさく見えますが、これは大切なプロセスです。
驚かせる、発見させる、褒めて喜ばせる
こうすると頭の中に鮮明に記憶として残ります。
いよいよ鍵盤にタッチします。
私はまず、黒鍵3つに(ファ♯・ソ♯・ラ♯)に
2、3、4の指を置かせます
そして、
- 「じゃあ、この黒いやつ(ファ♯)を2の指でひいてみよう!
さ〜、右手の2のゆびはどれだった?覚えてる?」
と言って、正しく言えたらまた大げさに褒める。 - 時折、「難しい?」と聞いてみて(答えはわかりきっている)
「簡単だよ!」という答えが返ってきたら、
「やっぱり頭の良い子ね!」と - 大げさに感心しているフリをする。
音の出し方、正しい手の形、を観察します。
(私はロシアンシューレを基盤にしているので、
まあるい卵が壊れないような、でのアプローチはしません。
これも長くなるので、省略します)
打鍵させたら、音を注意深く聴かせます。
乱暴に叩いたら、汚い音が出てるから嫌でしょう?
みたいな感じで伝えます。
自然な力の入らない指の形で、綺麗な響きが出たら、
これまた絶賛します。
- 音が出せるようになったら、簡単なリズムから試してみます。
タータタ、とかタタタ、みたいな猫でもできそうなものをやります
(猫はできないけど)
ダレてきたら?
子供が慣れてきて、集中力がなくなったり、
なれなれしくなって赤ちゃんぽくなってきたら即座に、
- 「姿勢どう?ちゃんとできてるかしら?!!」
とビシッと空気を変えます。
これは大切。
この行為を挟んでいかないと
先生ではなく、ただの優しいお姉さんやおばちゃんになってしまうので要注意です。
ピアノの音名を覚える
この日のうちにドレミの音名も教えます。
メソッドはありきたり、
- 黒鍵2つグループと3つグループを
1と5の指で挟ませる遊びを全オクターヴやり
2つグループの1の指が「ド」って定番のやつです。
オーストリアはドイツ語圏なので音階はCDEFGなのですが、
これで歌うのは不可能なのでうちは両方覚えます。
子供の能力に応じて、無理のない範囲で覚えさせます。
- 『「ド」はどれ?「これよりしたの「ミ」はどこ?」』
など、速さを競うゲームもやってその場で頭に仕込みます。
初めはドレミだけで充分、
次回がファ・ソ・ラで2週間、週に2回来る子ならあっという間に制覇です。
初心者に使用する曲
さて、ここからが問題です。
使う「曲」です。
つまらない作品だと子供はすぐに嫌になるので私はギロックをいきなり使います。
まずは私が弾いてみせます。
ギロックは不思議な響きや美しいメロディーなので
大抵の親御さんと子供は目を輝かせます。
そして手取り足取りで教えていきます。
まずはノンレガートから。
ここはもう、かなり長くなるので省きます。
これにテクニック的な教本を加えていきます。
バーナムや自分でアレンジしたものです。
短い練習でテクニックがつくように工夫します。
ソルフェージュも歌うことも並行して教えていきます。
ピアノはじめての宿題
毎日ピアノを弾きましょうね、とお約束ごとのように伝えますが、
言っても面白くなかったら子供は弾かないので、
私は毎回のレッスンに気合を入れます。
楽しいと思ったら、誰でも自分から弾きます。
- 初日の宿題は「今日習ったことをお母さんかお父さんに教える」です。
うちは可愛いシールも教材グッツも使いませんが、
レッスンに来るたびに少しづつ、
(自宅で練習する時間に比例して、ですが)
自分のレパートリーが増えていって、楽しいピアノ人生の始まりとなります。
そうなるようにお手伝い出来れば幸いだと思っています。