先生を替えるとき(体験談その②)

ピアノ塾

ウィーンのピアノ教師、佳奈です😊

A. 先生を替える理由

は何でしょう?だいたい以下のケースだと思います。

1. 現在の先生が、「私ではもはや力不足」とおっしゃって、ご自分から更に上の先生を紹介してくださる。

一番平和で教師も生徒も満足のいく例です。こうして伸びていけるお子さんは最高に幸せかもしれません。しかし人生はそう簡単ではありません。自分で先生を選びたい場合は尚更のこと…。

2. 生徒・親側が今の先生に不満があるので変わりたい

このパターンは生徒・親側にあまり思い入れ(レスペクトもない)がない為、変わったらさっさとサヨウナラで楽と言えば楽かもしれませんが、きちんとやめないと後々あまり良くありません。夫婦で言えば決別離婚型。たとえ何があったとしても、お礼の菓子折くらいはお渡しして、お礼を述べて綺麗に笑顔で別れましょう。でも子供にトラウマになるような酷いことをされたりしたのなら別ですが。そんな事もあまりないでしょうが。

3. 今の先生も好きだけれど、更に好きになった先生に習いたい

二股愛から離婚に発展するパターンです。この場合は前の先生にきちんと説明をしなければいけません。うちはこのパターンで大きいものが2つありますので、そのうちの一つを今日は書いてみます。なんらかのご参考になれば。ならないかな。

娘の若い頃大変お世話になった先生はバリバリのロシア人でした。これと思った生徒には全力の愛情と努力を注いで指導してくださいます。石ころでも上手くする天才です。が、その反面。裏切りは一切許しません。他の先生のマスタークラスに参加するなんてもっての他、他の人のレッスンを受けたり、意見を求めて聴かせるだけでも「即、クビチョンパ」です。コンクールに行って、審査員の批評を聞くのもご法度でした。

当時娘は11歳、巨匠オジム先生に出会った年でありました。前の先生は子供を指導するには天才的な才能をもっていらしたのですが、当時生徒さんをチャイコフスキー国際などにバンバン入れちゃう油の乗り切ったオジム先生の指導の魅力に私も娘もクラクラで、その年の9月から、モーツァルテウム音楽大学の予備科で取っていただくことにしてしまっていたのです。(そこまでの経緯も長い)そして入試が終わるまで絶対に口外しないということに決まっていました。

しかし夏のある朝、もとの先生からお電話をもらい、「佳奈、元気?あんたにピアノの仕事渡したいんだけれど、ギャラ弾むわよ。私のマーシャは元気(娘のこと)?」と言われて、私はやっぱり嘘がつけませんでした。そして、「先生、実はオジム先生の講習会に行ったんです。。。。」と告白。しばし沈黙。「それで彼はなんていったの?」「非常に良いと、今の先生が素晴らしいとおっしゃっていました」(これは事実)「ヘェ〜、ふうん。。。。。」

もう、私の心臓はバックバクで気が狂いそうでした。その夜電話があって、「佳奈、秋からウィーン音大にマーシャ(娘)の席はないからね」と言われてガチャン。あーーーーーーーーーー、想像はしていたけれど、なんの言い訳をする暇も、謝る暇もなく、即刻手打ちでした。それから6年くらいは全く音沙汰なし、先生方も現役を退いてお会いする機会も無かったのですが、お孫さんが同じレッスンに行きたりして遭遇し、色々なことが重なって、ありがたいことに許していただけることになりました。今では昔同様に娘を可愛がってくださいます。当時の別れはうちにとってもとても痛い悲しいものでした。泣きましたよ、申し訳なさすぎで。

彼女達がいなかったら、娘は初めの先生に師事したまんま、下手くそなまま、さえない音楽人生を歩んでいたことは10000%です。きちんとした基礎を作ってくれた先生ご夫妻に心から感謝しています。当時、色々なところに行ったのですが、(いったのかい、とつっこまないで)どの先生も即座に門下入りをOKしてくれていました。彼女はもう教えることをやめていますが、私は孫ができても彼女のところに土下座してでも連れて行きます。

ロシア人の先生は自分のクラスの生徒がよその先生に習いに行くことを憎みます。やめた生徒の写真を切り裂いたり、「覚えていなさい」と捨て台詞を口に出して怒りを表すのはまた、それまでかけた愛情と指導の深さの裏返しだと思います。私は個人的にはやっぱり情熱と愛情の詰まった熱いロシアンシューレが大好きです。

さて、長くなりましたがつぎは先生方のタイプです。

Sponsored Link

B. 先生のタイプ

1. 次の先生を紹介したら自分は身を引く

お金に余裕のある、良い先生に多いパターンです。こういう先生に習っていた生徒さんは幸せだと思います。

2. 新たな先生の補佐として定期的に教えることを望む

新しい先生がそれを必要と思い、勧めてくださるのなら良いかもしれません。でもどんなに同じもんかでもヴァイオリオンの場合は必ずと言っていいほどやり方に差が出るので、若い生徒は混乱します。お互いが望むなら良いですが、経済的な負担もあると思います。いずれかの理由で苦しくなったら、直接相談が望ましいです。

3. 絶対に許さない

上のうちのパターンです。うちはそんな余裕がなかったので思いつくこともありませんでしたが、まとまったお礼をする、という裏技があるということをあとから聞いたことがあります。これをやって、憎まれなかった例があったそうです。そうなんでしょうかねえ。

まとめ

ドーラ・シュヴァルツベルク教授もこのテーマについて述べたことがあります。

「すべての人間がハッピーである事はありえない。」

学生が習いたいと望んで彼女のところに来ても、彼女はその学生の教授がドーラに「お願い」しない限りは絶対教えません。なぜなら、この歳になって教授仲間同士の争いなんて面倒くさいからだそうです。誰がどこに行ったか、なんてあっという間に広がります。嘘をつくのは不可能なこの社会。自分が正しいと思ったらきちんと筋を通して行動する、これが一番な気がします。