近所に住む同業のピアノ・ヴァイオリンの先生がえらく変わっている場合、の件

ピアノのお部屋

日本(東京)に住んでいた頃は、うちの近くに少なくとも5件のピアノ教室がありました。もう、本当に石を投げればピアノの教室に当たる、というかんじです。皆さんそれぞれ、可愛らしい「○○ピアノ教室」みたいな看板をぶるさげていて、微笑ましい感じでした。しかし今考えてみると、お客さんの取り合いなんてあったのかしら、とも思います。

前にもお話ししましたが、私の住むこのウィーンという街では、日本のように誰でも彼でも子供はピアノやヴァイオリンを習う、という習慣はありません。そりゃあ、少しはいるけれど、日本と比べたら全然少ないのです。これを書くと、「音楽の都なのに?」とみなさん不思議がるのですが、事実です。理由としては、ピアノやヴァイオリンのお稽古にセレブ感を感じられないこと、家で練習しなければいけないようなお稽古は、親にとって負担であること、投資したくない(ピアノを買いたくない)こと、と色々あります。それならカラテやテニスのようなスポーツ系、その場だけで楽しめる合唱のようなものの方が絶対的に魅力があるようです。

で、何を言いたいかというと、ちかくにピアノ(やヴァイオリン)の先生がいて、「商売ガタキ」なんてことは本当にあり得ないということです。
どうしてこんなことを書いているかというと、Twitterで、近所のピアノの先生が、わざわざ自分の子供を近くの先生のところに体験レッスンに連れてきて、その目的が「偵察」というおっそろしいお話を聞いたからです。すごくないですかこれ?最高に気持ち悪いです。私なら震え上がってしまいそうです。

しかし、面白い体験を思い出したので、書いてみます。こちらは全然平和なおはなしです。
大昔、私がまだ生徒を募集していた頃の話です。子供たちの通う学校に、張り紙を出しました。
今はそう簡単に受け付けられないのですが、当時は私が事務の人をよく知っていたことなどあって、定期的に張り紙を出してもらっていました。
ある日、電話がかかってきました。

「ハロー!あなたがピアノの先生の佳奈さん?貴女の張り紙を見てお電話してるの。ちょっとお話をお伺いしても良いかしら?」
「はあ」
何かと思ったら、その女性、
「私は、ヴァイオリンの教師であなたのように生徒を募集しているのだけれど、全然こないのよ。どうしてか全くわからないわ。あなたのところには生徒は来る?」
え〜?!なにこれは〜、と思いました。でも面白いなと思ったので少し話を聞いてみることにしました。

その人は、ウィーンの音楽大学をヴァイオリンで卒業した、オーストリア人で30代の女性でした。
聞いてみると、レッスン料が彼女の履歴(ざっと聞いた)にしては、高すぎ。これが完璧ネックだな、とおもいました。大学でパッとしない教授(本当にすみません)のもとで、大した成功もなしに卒業、それでこの金額は難しいだろう、と正直思いました。

「でも、このレッスン料は当然よね!あなたもそう思うでしょう?だって、あんなに大変なディプロム(演奏会形式の公開演奏)を合格しているのよ?それにオケのトラで海外に行ったこともあるのよ」

だめだこりゃ、と思いましたが、何も反論せず、「そうね、そうね、みんなお金ないからね、頑張ってちょうだいね」と言って電話を切りましたが、本当にいろんな人がいるものだと思いました。

しかし、よーく考えてみると、日本よりずっと平和だ!!!と思いました。
ウィーンでさえこれだったら、変わったな先生が近所にいる可能性は、日本にはもっとあるのだろうな、と想像しました。そんな変な人に絡まれたらもう、塩撒いて逃げるしかありません。無視して全速力で逃げましょう!!!