ピアノのコンサートや発表会、入学試験やコンクール。ドレスコードはどんな感じ?

音楽留学のために

*写真は、いつかの夏、マスタークラスでのコンサートの様子です。

今日は欧州のコンサートや学校でのコンサート、コンクールなどのドレスと日本のコンサート、発表会の違いについて書いてみたいと思います。

日本と言っても地区によってドレスの風習はかなり違うようですが、ここはまとめて「私の見た日本の〜」ということにさせてください。そして欧州、というのもざっくりですが常識的な範囲でということで書いています。さて、たかがドレス、されどドレス、場所によっては大切な役割を果たすことになります。まず、順を追って眺めてみましょう。

子供の発表会やコンクール
欧州では、お教室によりますが、先生が特に注意をしないと、運動靴にTシャツ、なんて格好で舞台に上がってしまう子もいます。これは私的にはすこし悲しく思っていて、ギラギラなドレスは全く必要ありませんが、指導者がせめて、あまりラフでない格好をしてくるように指導すれば良いのにな〜、と毎回思います。せっかく人前で演奏するのだから、ちょっときちんとしても良いかな、と。国内コンクールでも運動靴と公園に行くような格好でやってくる子は結構います。音楽教室のカラーにもよりますが、堅苦しくない、かまえない、というのが良いところと言ってしまえばおしまいですが。

うちは狭い我が家でハウスコンサートをやりますが(ずっとコロナでお休みだったけど)親御さんには日本語でいう「ちょっと特別なお出かけの格好」で、できれば「革靴」で演奏するようにお願いします。子供にドレスは一切不要です。

SNSなどで日本のピアノの発表会のお写真を拝見すると、とても華やかで驚きます。「クラシックのピアノを習う」ということは、日本と欧州では根底にちょっと違うものがあるような気がします。こちらではピアノは庶民でも習えるもの、日本では余裕のあるご家庭のお子さん達が習うもの、的な。

欧州では発表会に高額な会場費や会費も通常はないですし、子供の出る発表会でロング丈の舞踏会に出るような派手なドレスを用意しなければいけないのであれば、ウィーンの庶民の子供達はあまりピアノを習いに来ない気がしてしまいます。離れてみると、日本はやっぱり裕福な国のように感じます。

国際コンクール 子供編
やはりきちんとしたものがいいと思いますが、下半身がパニエでディズニーのようなドレスを着ている人はあまりみた事がありません。頭に巨大な飾りをつけている人もあまりいないような気がします。そして女の子に「黒」のドレスもみた事がありません(多分売っていない)某審査員曰く、ピンクなどの暖色で可愛らしいものなら充分、だそうです。こちらのコンクールを受けるお子さんのヒントになれば、と思います。

音楽大学の入学試験の実技
女性であれば、上品なワンピースか黒や紺のストン、としたロング。男性であればスーツに革靴です。たまに運動靴がいますが、これは本当に見ていて残念だと思います。ピアノであればこの人はペダルに無頓着なんだろうなと思うし、ヴァイオリンだったら、ああ、プロフェッショナルではない、と審査員の印象が悪くなってしまう可能性があります。

「そんなこと!」と思われるかもしれませんが、服装や髪型を必要以上に見る教授は良し悪しは別として実際に、数人いるのです。審査員も教授も人間です。「いい歳をしてあんな洋服を着てくるなんて!」とか「あの髪型は何なの?」なんていう意見はオフレコで出ます。

あくまでも実技重視ですが、何も服装や髪型で、弾く前から嫌われる必要もないと思うので、変な格好はしないに越したことはありません。あくまで私の印象ですが、幼稚なスタイルは損な場合がある気がします。以前私は「若く見られた方が特」だと思っていて、教授に確認したところ「年齢はリストに書いてあるのでごまかせないので無駄」という回答をもらいました。

【失敗談】
昔、娘(ヴァイオリン)に可愛いと思ってヘアバンドをつけて舞台に立たせた事がありました。ヘアバンドが子供の頃からのトレードマークだった事と、前髪が邪魔だったこと、そして若く見えた方がトクかもね、というのが理由です。当時娘は20歳くらいでした。演奏後、ロシア人のお母様から、「あなた!ヘアバンドは子供がつけるものよ!お嬢さんのパフォーマンスが台無しになっちゃうじゃないの!だめよ!!!」と忠告をいただいた事があります。本当にもう、こういうのは有難いです。

私と娘の周りには、経験豊富な素晴らしいステージ・ママ・パパがいて有意義なアドヴァイスを沢山くださいます。本当にありがたいことです。言われて初めて気づいた、「おお〜〜欧州でこれ、ダメなんだ〜!!!」体験です。

さて、入試に話を戻します。
そんな人はいないと思いますが、入試において日本の発表会のような光り物のドレスや髪飾りは絶対になしなのでご注意を!

音楽大学でのクラスコンサート
個人的にはもっとみんな派手にしても良いんじゃないかと思うのですが、示し合わせたようにみんなダーク系を着ます。黒いパンツ姿も多い気がします。控えめな印象です。門下によってはドレスコードが決まっているので、新入生は教授に確認すること。

室内楽のコンサート
こちらはみんなで話し合って決めます。常識的には黒のロングが多いです。日本と違い、室内楽で派手なパニエの入った派手なロングドレスを着ることは、まずありません。

こちらはいつかの夏訪れたマスタークラスの室内楽の発表会の時の写真です。

日本からこちらにくると、ドレスの質素なことに驚かれる事が多いと思います。とんでもないオーバードレスで恥ずかしい思いをしないように、事前に様子を聞いてドレスを持ってくると良いと思います。

日本には派手なものもたくさんありますが、その他にも趣味の良い、品の良い素敵なドレスもたくさん売っています。逆にオーストリアには素敵なドレスでサイズの小さいものはとても少ないので、用意していらっしゃると良いと思います。

たかがドレス、されどドレス、日本とこちらではちょっと違います。