今日は、最近最もウィーンで話題になっている、オーストリアの政治について自由党(FPÖ)と国民党(ÖVP)の関係や政治の流れの変化を簡単に書いてみたいと思います。
オーストリア政治の変化:自由党と国民党
2024年の秋以降、オーストリアの政治は大きな変化を見せています。
中でも注目されているのは、自由党(FPÖ)の勢力拡大と、それに伴う国民党(ÖVP)との関係性です。国民党(ÖVP)は、2024年の政治交渉で社会民主党(SPÖ)やNEOSとの連立を模索しましたが、政策の違いや信頼関係の不足から合意に至りませんでした。この結果、自由党(FPÖ)がさらに影響力を強める形となりました。
自由党(Freiheitliche Partei Österreichs)は、右派の政党として知られています。
移民政策の強硬な姿勢や国粋主義的な主張を掲げており、特に移民問題や治安の強化を重視する有権者の支持を得ています。2024年の地方選挙では、多くの州で大きな成果を上げ、現在の世論調査では最大の支持率を獲得しているとも言われています。
この背景には、以下のような要因があります:
– 移民・難民問題
ウクライナ紛争や中東からの移民流入が続く中、自由党は「移民制限」や「国境管理の強化」を訴え、多くの有権者の不安を吸収しました。移民・難民が犯罪者の事件も多く取り上げられ、多くの人が不安に思っていたので当然の流れです。
– 経済不安
インフレやエネルギー価格の高騰に対し、自由党は国民の生活コスト削減を訴えました。過激ではあるものの、誰にでもわかりやすい説明、これは中間層や低所得層の共感を得る要因となっています。
国民党(Österreichische Volkspartei)は伝統的に保守的な中道右派の政党です。
最近では、両党が財政赤字削減のために合意した施策については大きく以下のようなものがあります。目的は財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以内に抑え、欧州連合(EU)の財政規律を遵守すること。
– Klimabonusの廃止(全ての住民に支給されていた気候保護目的のボーナス)
– 教育休暇(Bildungskarenz)の廃止(労働者がスキルアップのために取得できた教育休暇制度)
– 18歳への無料Klimaticketの廃止(18歳の若者に提供されていた公共交通機関の無料年間パスの廃止)
– 環境関連補助金の削減
– その他タバコや宝くじなどの増税・・・・
留学生・旅行者が知っておくべきポイントは?
オーストリアの政治状況が留学生や旅行者に大きな変化をもたらすことはないと思いますが、一応、気をつけるに越したことはないので、以下の点を頭の片隅に置いておくのも良いでしょう。
– 移民政策の影響
自由党が勢力を拡大すると、移民や外国人に対する規制が厳しくなる可能性があります。
留学生ビザや労働ビザの手続きが複雑になることも予想されるため、早めの準備が重要した方が無難です。
– 日常生活での注意
政治的な意見の対立が激化すると、一部の地域で外国人への偏見が高まる場合があります。ただし、オーストリア全体としては比較的安全で、治安も良いので、今までとおり、「外国に来たら気をつけること」を実行していれば良いと思います。
自由党と国民党の動きは、オーストリア国内だけでなくEU全体にも影響を与える可能性があります。特に2025年の国政選挙では、自由党がどのような成果を上げるのか、また国民党がどのように支持を回復させるのかが注目されます。
オーストリアに留学や旅行を予定している方は、現地のニュースや政策変更に注目し、適切に準備を進めましょう。政治の変化を理解することで、より安心して暮らしやすい環境を作ることができます!何事においても「知らない」という状態は人間に不安を与えます。ネットの普及しているこの世の中、なんでも調べる癖をつけましょう。