音楽家としてどれだけ「事故」に気をつけるか、のおはなし

ピアノとヴァイオリン

楽器を専門に勉強し、音楽大学に行くようなレベルになると、演奏、または教える、ということが将来の生業になってきます。

で、演奏家の場合はもちろんですが「弾いて(歌って)なんぼ」弾かなければ収入につながらない、ということです。

はい、スキーに行きました。楽しかったです。骨を折りました。そして、以前のように楽器を演奏することはまず無理でしょう、となりました。すると、どうなるでしょう?

収入に影響が現れるわけです。

「教える」という事に特化している場合も似たようなものです。健康であるにもかかわらず、学生より上手に弾けないのに(技術的にという意味で)指導者として働いている人も、もちろんいます。しかし「ホンモノ」の教授達は年齢を重ねても演奏して指導できるものです。そういう立派な教授は少なからずいらっしゃる。

こういう人たちが事故にあった場合には、収入云々よりも、「ああ、弾いて見せて教えたいのに出来ない」というジレンマに苦しむ事になります。

うちの場合ですが、他の理由もありますが、身に少しでも危険のあるスポーツはムスメにさせませんでした。幸い、彼女はスキーやスケートに全く興味がないので良かったのですが、もし「どうしてもやりたい」と言われたら困った事でしょう。

オーストリアでは、「ヴァイオリンをやっているからと言ってスキーに行かないなんて考えられない!私はどんなスポーツでもどんどんやるわ!」という人が大半です。私はそれを見るたびに、「すごいなあ」と感心せずにはいられません。

例えば指を折ったら、子供の頃から積み重ねてきた努力、もちろんそれに係る金銭的なことや時間、それが全て煙と化すと思ったら、想像するだけで恐ろしいです。震えが来ます。

世の中にはいろんな人がいて、それぞれ違った価値観を持って生きています。それで全然大丈夫なのですが、私はやっぱり防げる事故は防ぎたい、怖い、と思うタイプです。