ピアノのレッスン 親御さんからの無謀なお望みが功を奏した件について

ピアノとヴァイオリン

今日の写真は、お題と全く関係のないとピアニストのランラン氏。スイスのフェスティバルにて。

長年ピアノを教えていると、色々な親御さんと出会います。

とんでもなく、どびっくりな要求を、本当に素直に、無邪気な目で要求されることにはもう、慣れっこになっています。だから驚きません。

後からピアノをはじめた妹がバリバリに上手になってしまって、すねてしまっているお姉ちゃんに困り果て、

「お姉ちゃまの方に妹よりずっと難しい曲を弾かせてあげて」とか(1週間にまったくピアノを触らないのに!)

「あのドラマで出ていた、タララタララ〜っていう綺麗な曲(ベートーヴェンの月光ソナタ1楽章)を弾けるようにしてあげて」とか、

物理的に不可能なところでは、2週間に一回しか来れないけれど、他の生徒さんのように上手にして(これは即お断り…)などたくさんあります。

しかし、親御さんの要求が功を奏したケースもあります。

コロナ禍で数ヶ月レッスンが抜けていた8歳ちゃんママが「何か新しいソングをあげて下さいますか?」とメールしてきました。この数ヶ月で忘れたことを思い出すべくプログラムを考えていたのですが、計画変更。

ブルグミュラーもろくにやってないのに、どうせかっこいい曲が良いんだろうな、どうするかな、と思い、数曲選んで選んで、私が弾いてその子に選ばせました。想像通り、彼女の選んだのはクレメンティのソナチネop36。

それはもう、目を輝かせて、「I love it, I live it!!!!!」と大騒ぎ。

ソナチネアルバムの簡単なものは、基本、短いスケールとアルペジオから成り立っているので、実はとても勉強になるのです。

バラして練習方法をきちんと教えると、それはもう素晴らしいエチュードのようなものになって、かなりテクニックが付きます。

まずは左手をきちんとゆっくりテンポが揺れずに弾けるようにして、たまに出てくる右手の16分音符はこれまた部分練習、リズム練習などをします。

幸いなことに、本人がやる気の塊で「早く弾けるようになりたい!」という気持ちがあって、練習してくれるので助かります。

この子に異常なやる気があるからうまくいったのですが、やっぱり好きな曲でモチベーションが上がると、結果は良い方向に向かいます。