海外の音楽大学を目指す前に、親が考えておきたいこと

音楽留学と演奏生活
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海外の音楽大学を目指す前に、親が考えておきたいこと

海外の音楽大学を目指すことは、子どもにとっても親にとっても、大きな希望のある選択です。

けれども、その道を考える時には、演奏技術や学校名だけでなく、親として一度立ち止まって考えておきたいことがあります。

今回は、音楽を学ぶ子どもを支える親の立場から、特に大切だと感じる二つの点について書いてみたいと思います。

1. 子どもの人生を、親の夢の延長にしない

音楽を学ぶ子どもを支える中で、親が知らず知らずのうちに陥りやすいことがあります。

それは、子どもの人生に、親自身の夢や理想を重ねすぎてしまうことです。

私自身も、決して例外ではありません。振り返れば、子どものためと思いながら、親である自分の価値観や期待を強く重ねていた時期があったように思います。

自分が叶えられなかった夢を、子どもに託したくなる気持ちは、決して珍しいものではありません。特に、子どもに才能があり、周囲から評価されるようになると、親の期待も自然に大きくなっていきます。

もちろん、親の熱意や支えがあったからこそ、子どもが大きく伸びることもあります。良い指導者、練習できる環境、経済的なサポート、そして親の努力がそろえば、幼い頃から高いレベルに到達する子どももいます。

けれども、ここで一度立ち止まって考えたいのは、それが本当に子ども本人の望む道なのか、ということです。

生活のすべてが楽器中心になり、子どもの気持ちよりも結果や評価が優先されてしまうと、どこかで心が離れてしまうことがあります。小さい頃に注目されていた子どもが、成長の途中で突然楽器をやめてしまう例も、決して少なくありません。

反抗期がある場合は、親子の間でぶつかることで、ある意味では気持ちが表に出ます。けれども、反抗せずに親の期待に応え続ける子どもの場合、その無理が後になって表れることもあります。

幼い頃に高いレベルで演奏できることは、もちろん素晴らしいことです。

しかし、それだけで将来が約束されるわけではありません。

良い先生に恵まれ、親が熱心に支え、子どもが素直に練習を続ければ、ティーンエイジャーになる前までは、かなりのところまで伸びることがあります。けれども、それは必ずしも「特別な才能」だけによるものではなく、環境や条件がうまくそろった結果である場合もあります。

本当に大切になるのは、その先です。

本人がその楽器を心から好きなのか、音楽そのものを大切に思っているのか、自分の意思で学び続けたいと思っているのか。

海外の音楽大学を目指す道では、日々の練習だけでなく、思い通りにいかないことや、不公平に感じる出来事に出会うこともあります。その時に支えになるのは、親の期待ではなく、本人の中にある音楽への思いです。

だからこそ、子どもを支える親にとって大切なのは、子どもを自分の夢の延長に置くことではなく、子ども自身が本当に進みたい道を見極めることだと思います。

厳しいことを書きましたが、これは海外の音楽大学を目指す道を否定するためではありません。むしろ、本当にその道を望む子どもたちが、できるだけ良い形で学び続けるために、最初に考えておきたいことだと思っています。

2. 噂を頭から信じ込まない。有名教授を偶像化しない

海外の音楽大学を目指すご家庭からご相談を受けていると、よく耳にする言葉があります。

「今、日本では〇〇先生に習うことがみんなの目標になっています」
「〇〇教授に見てもらえれば、〇〇コンクールにエントリーされて、入賞できるんです!」

もちろん、その時々で注目される先生や、評判になる教授がいることは事実です。実際に、良い出会いに恵まれ、大きく伸びていく生徒もいます。

けれども、音楽の道に「この順番で進めば必ず成功する」という決まった道筋はありません。

特定の先生や教授を過度に理想化し、その名前だけを追いかけてしまうと、本来見るべきものが見えなくなることがあります。周囲の噂に振り回され、必要以上にお金や時間を費やし、さらに他の生徒をライバルとして意識しすぎてしまう。そうなると、音楽を学ぶ本来の目的から少しずつ離れてしまいます。

コンクールの結果も同じです。あるコンクールで評価された生徒が、別の場では思うような結果を得られないこともあります。反対に、ある場所では目立たなかった生徒が、別の先生や環境の中で大きく伸びることもあります。

音楽の世界には、努力だけでは決められない部分があります。運、タイミング、出会い、相性。そうした要素が複雑に重なっています。

だからこそ大切なのは、「有名な先生に習うこと」そのものではなく、自分に合った指導者に出会うことです。

良い指導者とは、ただ厳しい言葉をかける人でも、精神論だけで引っ張る人でもありません。実際に技術を伸ばしてくれること。音楽的な方向性を示してくれること。そして、生徒が信頼して学び続けられる人であることが大切です。

指導者と生徒にも、やはり相性があります。

どれほど有名な先生であっても、すべての生徒にとって最高の先生であるとは限りません。反対に、世間的な知名度だけでは測れない、本当に力のある先生との出会いが、その後の人生を大きく変えることもあります。

もう一つ、海外で学ぶ場合に知っておきたいのは、指導者との関係性が日本とは少し違うことです。

日本では、先生が技術面だけでなく、生活面や精神面まで深く支えてくれる存在として考えられることがあります。昔ながらの「お師匠さん」のような関係を思い浮かべる方も、まだ少なくないかもしれません。

しかし、海外では、指導者と生徒の関係がもう少し自立したものとして成り立っていることが多いです。もちろん、親身になってくださる先生もいます。けれども、先生に過度な精神的支えや人生全体の面倒を見る役割を期待しすぎると、かえって誤解や失望につながることがあります。

海外の音楽大学を目指すうえで大切なのは、噂や名前だけに頼ることではありません。

その先生が自分に合っているのか、実際に何を学べるのか、その環境で自分が成長できるのか。

そうしたことを冷静に見極める姿勢が、長く音楽を学び続けるためにはとても大切だと思います。

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