音楽大学の室内楽単位──留学生が意外に苦労する「仲間探し」の現実
日本から来た学生さんたちと同じように、うちのムスメもこちらの音楽大学で、同じ難問に遭遇することが多々ありました。
それは何かというと、こちらの音楽大学で取らなければならない「室内楽」の単位です。
室内楽のメンバーを見つける難しさ
最初から、とても仲が良く、気の合う仲間と室内楽を組み、楽しく演奏しながら勉強もできれば、それはもう最高にラッキーです。
しかし実際には、そう簡単にはいきません。
気が合って、なおかつ「同じようなレベル」の仲間を見つけるというのは、想像よりも遥かに難しいのです。
日本人留学生が驚く「時間感覚」の違い
その原因のひとつとして、日本ではあまり考えられない理由があります。
それは、「時間を守らない、または守れない学生」が想像よりも多いということです。
これには、日本から来た学生さんたちは特に「うっそ〜」となります。日本では、あまりないと思います。少なくとも、ここまで頻繁にはないのではないでしょうか。
もともと室内楽にそれほど興味がなく、「単位のためだけだから面倒だな」と思っている人は、実に簡単に休む決断をします。
「嫌だな、なんだか体調も悪い気がするし、今日は行くのをやめよう」
そんな感じです。
他のメンバーのことは、あまり考えません。
「行くのが嫌だから、とりあえずやめよう。試験やコンサートの前に、初見で一回くらい合わせればいいや」
そういう感覚の人も、残念ながらいるのです。
真面目な学生ほど苦労する
これで泣く日本からの留学生も少なくありません。
真面目に室内楽を学びたい、楽しみたいと思っている学生が、そういう学生と組んでしまうと、本当に大変です。
初めはやる気がありそうに見えたのに、いざ始めてみると、とんでもなく怠けるタイプだったり、時間感覚がまったくない人だったりすることもあります。
始めてから気がつくことも多いのです。
レベルの差も大きな問題
時間感覚だけではありません。
レベルがあまりにも違うと、これもまた大きな問題になります。
音程が悪いことをまったく気にしないで弾き続ける人。
それでも自分はハイレベルだと信じている、ある意味幸せな学生。
さらにひどい場合は、絶対に練習してこない、ということもあります。
室内楽は一人で完結するものではありません。だからこそ、メンバーの姿勢や責任感がとても大切になってきます。
大学院では「オーケストラ」か「室内楽」を選ぶことに
弦楽器の場合、バチェラー、つまり音楽大学の学部を終えると、大学院に進む際に「オーケストラ」か「室内楽」を選ばなければなりません。
以前は「ソリスト」の部もあったのですが、これは音大の都合でなくなってしまいました。
そのため、ソロ志望であっても、単位数のやたら多い「オーケストラ」か「室内楽」を選ばなければなりません。
しかし娘曰く、室内楽はメンバーを探すのが本当に難儀だということでした。
ドタキャン、欠席、日程の組み直し
合わせの日を決めても、直前にキャンセルする。
レッスンの日に来ない。
そのたびに日程を組み直さなければならない。
しかも、教授からは真面目に出席しているメンバーの方が文句を言われることもあります。
これは、たまったものではありません。
理想のメンバーに出会えた時の幸せ
その反面、室内楽は理想のメンバーと巡り会えたら、本当に幸せなもののようです。
気の合う仲間と、同じ方向を向いて音楽を作っていける時間は、ソロとはまた違う大きな喜びがあります。
だからこそ、メンバー選びはとても大切です。
室内楽の単位は、ただ楽器を弾けば取れる、という単純なものではありません。音楽的な相性、技術のレベル、責任感、時間感覚。そうしたものすべてが関わってくる、想像以上に難しい科目なのです。

