ウィーン古典派は楽譜に忠実に、そして勝手にアレンジしないことを愛するウィーンの巨匠たち

ピアノとヴァイオリン

ふと思い出したので書きます。
娘がまだ、ティーンエイジャーだった頃、ウィーンで一番有名なオーケストラの(笑)コンサートマスターのレッスンを数回お受けした事があります。ウィーンの巨匠大先生です。色々なものを見ていただいたのですが、ピアノを弾く私がとても勉強になったのが、ベートーヴェンのピアノとヴァイオリンの為のソナタです。

娘のヴァイオリンだけでなく、ソナタなので当たり前ですが、ピアノもかなり細かく指導してくださいました。
その中からひとつだけ書いてみます。ソロのピアノを習うとき、こちらの教授達も良く言いますが、予想以上に楽譜に忠実であることが求められます。特に私がやりがちだったのが、書いていないところで勝手にクレッシェンドをする、デクレシェンドをする、です。

「楽譜にクレッシェンドと書いてあるか〜〜〜〜?????どこだどこだ、書いてあるなら言ってみろ!」と怒鳴られ、「スミマセン、書いてありませんっ!!!」なんて大声でやっていたことを懐かしく思い出します。

当たり前ですが、書かれていない(書いてある方が珍しいけど)ロマン派のようなルバートはアウトです。ピアノ(p)だったら(p)、フォルテだったらフォルテ。もちろん場合にもよりますが、「ベートーヴェンがお前にお願いもしていないクレッシェンドをやるな!」と言われても何気にやってしまう場合が多く、とても勉強になりました。一音一音が学びです。

ここにも書きましたが、この巨匠はレッスン料を徹底してお受けになりませんでした。
「金は充分にある。必要ない!」ともう、カッコよく言い切るのですが、本当のところは「貧しい学生から金を取れるか」というお優しさからでるお言葉です。

今でも懐かしく思い出します。いつまでもお元気で活躍していただきたい素晴らしい巨匠です。