*今日の写真は念願のウィーンの老舗コンディトライ、ハイナーの秋の定番、カスターニアシュニッテです。マロンケーキ。私、やっぱりウィーンのケーキ屋さんで一番好きなのはハイナーかも。もう、甘いもの好きの皆様に、絶対におすすめのケーキです。試してね!*
留学のお話はちょっとおいておいて、また譜読み云々のお話をしたいと思います。
結論から言うと、専門を目指す音大生でないかぎり、楽譜が読めなくても恥じることはありません。コンプレックスに思う必要なんていっさいありません。音楽を専門にして、それを人に教えるとかそういう仕事でないのなら、なんで必要?とさえ思います。
たとえ楽譜を読めなくても、素晴らしい演奏ができて楽しくて幸せ、おまけに聞いている人も幸せならば、誰も文句をいう筋合いなんてありません。そのまんまで絶対OKだと私は思います。
先日書いた、昔の生徒の大学生は、はじめて会ったときに、「僕、楽譜が読めなくて」と本当に恥ずかしそうにいうのですが、軽くドビュッシーの月の光を暗譜で、美しい音色で弾いたものです。何を恥じることがあるものか、と思いました。お母さんが、「彼は楽譜が読めないのよ!」と呪文のように繰り返すので(しかもお母さん、素人!)本人はすっかりコンプレックスに思っていたのでした。
音の場所や長さ、基本的なリズムを知っていても、それが、ど〜〜〜んといっぺんに楽譜に載っていると、もう何がなんだかわかんなくなっちゃう、なんて人は結構います(音大生でもいる)それでCDやYouTubeで聴いてまねっこをしてなんとなく弾いちゃう、こんな経験は誰でもあると思います。
それでなんとなく弾けてきた人が、それでも譜読みがスラスラできるようになりたいな、と思ったら、やっぱりコツコツ練習しかないのです。
私がその彼にまず、確認したことは「本当にやりたい?嫌なことを無理矢理やらなくてもいいんだけれど。。。。」(趣味の人に無理矢理何かをやらせる事は、私は好きではありません)
それでも「僕があなたに習う、ということはきちんと習いたい、と思って習うのだから、やります!」というので、まずやったことは、スケール。音階です。なんと一回も弾いたことがない!というではないですか。アルペジオも練習したことないし、エチュードのチェルニーの存在も知らず、ハノンにあたっては、「その人誰?」でした。
週に少しずつC-Durを1オクターヴから初めて、短調を含む全調を制覇。いきなり全部は無理なので、本当に少しづつ、やっている曲の調と関係調をやったりしました。そしてアルペジオ。和音の回転系のカデンツァ、そして大切な属7の和音のアルペジオです。
本人、もう大人なので、結構楽しくやってくれました。「僕できるじゃん〜〜!ファンクションするや、大丈夫大丈夫!」みたいな感じです。
お遊びのように、ハノンの皆さんご存知、ドミファソラソファミってやつを2オクターヴだけで良いので、今日はG-DurとA-Durみたいに移調させて練習する方法も取り入れます。ここまで行くとちょっともう、音大生っぽいです。
考えてみてもください。
古典派(モーツァルト・ベートーヴェン、ハイドン等)の曲なんて、ほとんどスケールとアルペジオと和音の分散で成り立っているのです。スケールやアルペジオを全調いつでも弾けるようになっていれば、弾くだけだったら初見でも弾けるものなのです。
だからスケールなどを学ぶのは退屈でつまんない、なんて思っても絶対に価値のあることなのです。
さてさて数ヶ月後には、正直、かなり変わったと思います。
これも本人にやる気があったからこそ、上達したので、本当に譜読みが早くなりたい、とか自分が心から思わないと結局ダメなんですが、そう思ってくれたので上手く行った例です。でも別にスケールやったり、ハノンやったりが嫌だったら、やる必要もありません。楽しく弾けていれば、それはそれで恥じることなんてなく、たくさん楽しんで欲しいと思います。
絶対にいや〜!という子も居て、常時私から真似っこで、その場で全て暗譜して覚え、人前で弾いて褒められて喜んでいる、という大学生もいます。それもそれで私が生きている限りは全然OKです。(多分私の死後、同じことをしてくれる人はいないだろうと思うけど。。。。笑)