若い実力のあるピアニストの「ピアノの先生」としての怒りとジレンマ

ピアノ塾

若い実力のあるピアニストの「ピアノの先生」としての怒りとジレンマ

欧州の某音大で、
世界でも有名な教授のもとで学び、
をきちんと学位を取得して卒業した
私よりずっと若いピアニストが
かなり怒って私にスカイプしてきました。

「ちょっと聞いてよ!キレたわ!!!」

「何?面白い話だったらブログに書くわよ」
と言ったら、
「問題なし!!」
というので書きますwww
話題提供をありがとう!

彼女は卒業後、
ピアノ教師をしています。
念のため、日本人ではありません!

怒りの元は先日アプローチしてきた
親子のお話。

話を聞いてみると、
別に普通に起きそうな話なんですが。。。。

「○○さんの紹介でメッセージを書いています。
6歳の娘が、うちのおもちゃのピアノで遊んでいて
どうやらピアノに興味があるみたいです。
一回、お試しレッスンをしていただけませんか?」

後日、訪れてきたそうです。
彼女はいつものように
きちんと子供向けのファーストレッスンをして
子供も反応があって、楽しそうにやっている。
興味がありそうな雰囲気だったそう。

そしてレッスンが終わってお母さんが、

「さあ、レッスンは気に入った?
ピアノをってみる?」
というと子供が元気よく、

「いやよ!」

と言ったそうです。

彼女は目が点になったそうです。

続けて母親が、
「そうね、彼女には難しすぎると思うの
もっと大きくなってからの方がいいかもしれません」

「考えられる?
この子供の無神経さと親の反応。
しかも『今日のレッスン料はいくらですか?』
って聞きもしないで、帰ったのよ!!!」

スカイプの向こうでキレる彼女。

あ〜〜〜〜、これはドイツ語圏でのアルアルです。

ドイツ語圏は『Schnupperstunde』というものがあって、
『お試し無料レッスン』
というものを提供する習慣があります。

よって、初めての顔合わせでのレッスン代は
払わなくて良いと
頭から信じている親が多い
のです。

私は余程の友人や知人の紹介でない限り、
ドイツ語でいう『お試し無料レッスン』は
しない主義です。
でも誤解があるといやなので、
うちに来る前にきちんと伝えています。

幸いなことに、私のところに来る
親御さんのほとんどは(多分99%)
私がこれを公言する前でも

「今日の分はおいくらお支払いしますか?」
と聞いてくれます。
常識的なご両親がほとんどです。

でも「知らない人は知らない」ですし、
全くの知人筋と関係のない世界から
他人が来る場合、
何が起きても不思議ではありません。

彼女は教師歴が私ほど長くないので、

「あなたダメよ、お金のことは初めに言わないと〜」
とアドヴァイスしたのですが、

大学でバリバリと勉強し、
コンクールも良いところまで行って
実力のある若いピアニストには
屈辱的な1日だったようです。

子供なんだから(しかも欧州の子供)
「いやだ!」と不躾に断っても
それはあり得る

となだめたのですが、

他に言いようがあるだろうが、
なんて躾の悪い子

あんな子、こっちからお断りよ!
と怒り狂っていましたが
これが現実です。

「礼儀のないような子供なんか教えたくないわ」
「趣味の子なんてたくさんよ!」

と怒り炸裂でしたが、厳しいことを言えば
それならがんばって

「音大教授になりなさい」と言いました。

コネを作って音大のヒアリングを受けて
教育科や副科ピアノの講師とか、まだ若いのなら
何とかなるかも、と。

でもこれ、現実的な話です。
若い人にとっては、
特にかなりのキャリアを積んだ人にとって

「普通の人にピアノを教える事の難しさ」
を受け入れることは
本当に難しいことなのです。

はっきり言って、
「ピアノの先生」を主収入源にして
生計を立てていこう
と思ったら
楽しい話じゃないかもしれません。
生計を立てるために、
何人生徒が必要ですか?

日本みたいに生徒がゴロゴロいるわけじゃないし
相手側のクラシックに対する価値観の膨大な差と
自分の実力が相手に伝わらないジレンマ。

結構きついと思います。
だって世の中、自分に合わない人
山ほどいるはずですから。
たくさん生徒が来れば、
合わない人が来る確率ももちろん増える。

でも、怒り狂う毎日ならば、その仕事は
やらない方が幸せ
です。

自分に合う生徒さん
生徒の需要に合わせ
平和に楽しくやっていく。

私にとっては今の気楽な状態が
一番楽しい
です。