もっとたくさん練習してくる、レベルの高い生徒が欲しい!と思う人の望みを叶えるには?

ピアノとヴァイオリン

ウィーンでの話です。日本のお話ではありません。

ここ、オーストリアで、あるヴァイオリン教師がわたしにこう言いました。
「もっとレベルの高い生徒が欲しい!!!ウィーンの街の子供たちは全然練習してこないし、親も全然協力的じゃない。こんな街の音楽学校で教えているのは嫌気がさす」と。

以前にも書きましたが、まあウィーンに限らず、西欧の普通に子供たちは、日本の子供たちのように沢山練習してきません。してくる子もいるけれど、それは教師が優秀で、子供自身が、かなりその楽器に興味を持って挑む場合のみです。親だって、べっつに自分の子供が音大に行くわけでも、ピアニストになりたいわけでもない(努力したって、簡単にはなれないよ、と私はいつもつっこむけど)楽しく子供が通ってチョロチョロ弾ければ満足、というスタンスがかなり多いです。(その代わり本気組のレベルはとても高いです。こちらは職業意識があるので「やる」か「やらない」がはっきりしている傾向があるのです。中間層が少ない。)だから、確かにここで教えるのは簡単なことではありません。

しかしながら、私がその若い街の音楽学校で教えている先生に対して思ったことは、ご想像がつくと思いますが、以下の通りです。

まず、子供が練習する気にならないのは、やはり教え方に問題あり。元々やる気のない子は街の音楽学校には来ないのだから、(こちらは親が無理やりっていうのは少ない。だって、こっちの子供は嫌だと言ったら、かなり真面目に嫌がるので無理やり来させるのは不可能だから)はじめはやる気を持ってきているはず。それが消えたのはなぜ?

そして、本当のところをはっきり言ってしまうと、

「一生懸命に頑張ろう、なんて子供の親は、あなたを選ばないよ」なのです。実績がない。

ある私の知人は、やはり「いわゆるウィーンの街の音楽学校の教師」ですが、コンクールに毎回多くの入賞者を出しているので、引っ張りだこで、大忙しの毎日を送っています。素晴らしい教師です。教師としての実績が、きちんとあるのです。それは彼女が何年も巨匠の元でいつも勉強してきたからです。彼女の教室は生徒同士が刺激し合い、ぐんぐん伸びています。そうするとクラスの雰囲気がガラッとポジティフなオーラでいっぱいになるのです。

レベルの高い生徒が来るような教師になりたいのであれば、教えるのがめちゃめちゃ上手な教授のレッスンを聴講するとか、自分でもそういう教授のプライベートのレッスンを受けるとか、何か努力をするべきです。自分を高めずに、「ああ〜やる気のある生徒が来ないかしら?」なんて言ったって、来るわけありません。それは「宝くじが当たらないかなあ」と待っているのと同じことです。

若いうちに切磋琢磨して、チャンスがあればジョップアップすることは可能です。この努力が実現できるのは多分、遅く見積もっても30歳くらいまでです。(日本での話ではありません!)自分が何かを望むのであれば、努力をするべきで、それができる時間というのは貴重なのです。