「楽譜が読める」ということを間違って解釈してしまう素人の親御さんの心配と説明する大切さ

ピアノとヴァイオリン

趣味でピアノを習っている13歳男子。
彼は私のところに来てから、弾くことが大好きになってくれて、私も彼も毎回のレッスンがとても楽しく、親御さんも大変満足してくれています。

ある日、お父さんからメッセージが届きました。

「ダニエル(仮名)はどうやら楽譜が読めないようです。どうぞ息子を手だすけしてあげてください」

はて、なんだろう?と思いました。
彼は、ドイツ語名でもフランス語名でも英語名でも音符を言えるし、三和音だって、きちんと長・短・減・増三和音を弾くことができるし、趣味でやってる割には、ソルフェージュもかなりできる方。スケールだって全部弾けるぞ。お父さん、どしたの?

ダニエルに確認してみると、頭を振って彼がいうには、先日、パパが彼になんかの映画のサウンドトラックのピアノの楽譜をプレゼントしたそうです。で、ダニエルはその楽譜を見て、すぐに弾けなかった。
「Kanaは楽譜を見たらなんでもすぐに弾けるのに、どうしてお前はまだできないんだ」
だそうです。なるほど〜〜〜〜。

そりゃあ、そうです。趣味の13歳男子が、初見で、スラスラと私みたいに弾けるわけないじゃないですか。私が今までピアノに費やした時間は数万時間です。それが半年前にピアノを始めた、しかも、プロ専攻でない普通の子供ができるわけない。しかも、古典派に比べれば、こういうポピュラーっぽいピアノ譜はリズムも何も、結構ごちゃごちゃしてわかりにくいのは当然です。

でもお父さんがわからないのは当たり前。だって、ピアノの「ピ」の字も知らない、素人の親御さんなんだもの。悪気はゼロ。だから、ピアノって習ったらすぐに私くらいは弾けるんだろう、くらい思っているのでしょう。

ダニエルくんにも、お父さんにきちんと説明して、あなたは他の子よりも早く覚えてるくらいなんだから、安心してちょうだい、と言ってね、と言いました。お父さんにもメッセージで、私のできる範囲で説明してわかってもらいました。

「貴女はなんでも簡単そうにすぐ弾いてくれたから、すぐにそうなるものだと思いました。違うんですね!」とお返事が。。。。「息子さんはとっても優秀で覚えも早いし、安心して暖かい目で引き続き見届けてね」とお返事しました。

自分の全く知らない世界、というのは本当に「わからない」ものです。私もサッカーやスポーツの世界のことは全くわからないし、誤解や心配を避けるためにも、まずは説明するところからです。

しかしそんなに早く、なんでも初見で弾けるようになっちゃったら、私たちの数万時間の苦労はなんなんだよ〜と思っちゃますけど(笑)お父さん、わかってくれて良かったです!!!