ウィーンの安全神話が崩れた一瞬 知人の昔の体験談から

音楽留学のために

ウィーンは比較的に安全な街だとしばし書いてきました。私は35年以上ここに住んでいますが、命の危険にさらされたことはありません。

もちろん、かなり気をつけて生活しています。日本からの旅行者が普通にやる
– カバンのチャックを開けっぱなし
– 人前で財布を開いて現金を見せる
– 貴重品を身体から離す
みたいなことは、絶対にしません。気をつければ安全な街、ウィーンです。

しかし、それでも、こういう事もあるんだよ、という例を今日はシェアしたいと思います。

私の知人の話です。

かれこれ20年くらい前、彼女は急いでいたのでタクシーに乗ったそうです。
運転手を見ると、まあどこにでもいるような太ったオーストリア人男性。だらしのない、下着のような白いトップを着ていた中年だそうです。

で、車に乗ってしばらく経つと、誰もいない、まるで知らない場所を走っていたそうです。不安になり怯える友人。

すると運転手は急に車を止めて、下車し、車の前のボンネットを開けたそうです。そして、彼女に見せたのが

「拳銃」

彼女は、これは大変だと思い、とっさにフレンドリーに話しかけたそうです。

「わかるわ!あなたがこうして護衛用の武器を持っているのは、すっごく理解できるわ。物騒な世の中ですものね。私があなたでもそうすると思うわ。武器を持つのは当然よね!!!」

するとこの時、この運転手はたぶん考えたのしょう。

「やるか、やらないか」

多分、やらない(何をかをはご想像に任せます)ことにしたのでしょう。車にもどり、彼女を指定の場所まで届けたそうです。

数日後、ニュースで連続強姦強盗殺人でタクシー運転手が捕まったというニュースが報道されたそうですが、その人だったそうです。

もうね、聞いているこっちがドキドキしましたよ。

当時はもちろん携帯もなにもない。今より危険度は大きいですが、こんな平和な街ウィーンでもそのような事が起きていたという事です。

思うに、友人はラッキーだったのでしょう。
レボルバーを見て、ヒステリーを起こして泣き叫んでいたり、何か違う行動をとっていたら、やられていたかもしれません。

人生、何をしたらどうなるか、なんて後から言ってもしようがありませんが、そういう事です。

タクシーは個人タクシーで、彼女はナンバーを書き留める余裕がなかったことを後悔していたそうですが、携帯のない時代、写真を撮ることも出来なかったので無理もないでしょう。

お金がもったえないのと、タクシーやウーバーの運転手に家がわかるのが嫌なので、私はよほどでないと配車サービスを使わなくなりました。でもこれを聞いて、今後も空港タクシー以外は使わないぞ!と思いました。

大事件ではありませんが、最近は配車関係のトラブルを聞くので(運転手がしつこくナンパしてくる等)若いお嬢さんたちはやっぱり気をつけてください。

車関係以外でも、旅行にいらっしゃる方は、モノを身体から絶対に離さない、これだけは守っていただけると、と思います。油断大敵。