痛くなってからでは遅いのです。手や腕、身体が痛くならないような日々の練習を心がける大切さのコツは?ガツガツしないこと!

ピアノとヴァイオリン

大人の趣味の生徒さんのお話です。
彼女は最近リタイアしたお医者様ですが、大のクラシックファンでピアノも大好き。
とても真面目に練習してきます。好奇心と意欲の塊で、一緒にワークする私も毎週楽しくレッスンしています。

さて、ある年齢に到達すると、誰でもなんらかの故障が身体に出てきます。
例えば、ピアノの練習のしすぎ、とか練習のやり方が間違っている、という以前に、指と手のトラブルが起きることが多くなります。例えばへパーデンとか腱鞘炎です。膝が痛くなったりするのと同じことです。

長年に渡り、毎日毎日細かい手術を行なってきた彼女は、リタイアする前には腱鞘のトラブルが絶えなかったそうです。そうですよね、ピアノみたいに脱力だ何だいう前に、人様の命がかかっているのですから、それなりの緊張がかかって当たり前です。今でも痛みが出たりするようです。

そこで今日のテーマなのですが「どっちにしても身体にガタが出てくるんだし、だから尚更、痛めない毎日の練習を心がけよう」ということです。

それは、わたしのように長年ピアノをやっている人間も、最近始めた趣味のピアノ弾きさんも同じ事です。
「練習中にガツガツしない」これです。

ムスメが昨日電話で言っていました。

「久しぶりに学校に戻って練習してると、みんながやる気満々でガンガンすっごい勢いで練習していると、ああ〜〜〜わたしもヤンなきゃ、ってガツガツして無駄に手が痛くなっちゃうから気をつけないと!」

これなんです。私が若い頃に手が痛くなったのもこれ。ガツガツして、「早く譜読みを終わらせたい!」とか「早くかっこよく弾けるようにならなきゃ」という焦るせっかちな気持ちが、身体に負担を与えて壊すのです。若い時は特に「待てない」のです。

で、同じように「待てない」状態なのが、趣味であっても「真面目な性格の大人」の人です。
「早く弾けるようになりたいわ!」という思いから、知らず知らずに力が入って、歯を食いしばって譜読みをしたり、部分練習をしたりしてしまいます。

脱力だなんだ言っても面倒なので、まずはひとつづつ、気をつけて行くようにお話ししました。
彼女の欠点である、鍵盤の上に指をいつまでも置いて、食いしばる、これを絶対にやらないこと。鍵盤を握りしめるように和音を掴んでも、音は消えて行くのです。

和音を掴んだ後に、毎回指でネリネリする学生に教授が、「何やってるの。もう音は変わらないよ。指を痛めるだけ」と言ったのを思い出します。(この奏法が好きな方は掘らないでくださいw今は初心者のピアノのお話)

あと、意味のない指潜りでのレガートにこだわらない。「だってここ、レガートで弾かなきゃ!」とかそういう真面目なこだわりで力が入って、腱に負担をかけることもあるのです。「何やってんの?無理しなくても、ペダル踏んでるじゃないの、繋がってるから大丈夫!」という今は亡きバシキロフ教授の言葉も頭をよぎります。

小さなことにこだわりすぎて、力が異常に入っている事は結構あるのです。
まずは、些細なことに固執せず、リラックスする習慣をつけてみると良いと思います。