オーストリアの音楽大学の門下クラスコンサート

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オーストリアの音楽大学の門下クラスコンサート

写真はウィーン国立音楽大学のフェストザールでのクラスコンサートの写真。

クラスコンサートを見つけるには

通常は音大のウェヴサイトで、どの門下がいつクラスコンサートをするのか見る事ができます。(今はコロナのため、殆どのコンサートがキャンセルになっています…)
ウィーン国立音楽大学(MDW)のコンサート情報はこちら

クラスコンサートの行われる頻度

教授によりますが、全く行わない教授はごく稀で、例えばウィーン国立音楽大学の場合は少なくとも2・3ヶ月に1回は行われます。ほぼ毎月、それ以上内輪で行うクラスもありますし、教授によっては大切な本番前に都合をつけてホールをとって演奏させてくれることもあります。教授によって違います。
昼のマチネーもあれば、夜のコンサートもあり、いろいろです。

その他

演奏する曲目は教授と相談して選びますが、コンチェルトやソナタを全楽章演奏することも可能です。ひとりで40分くらい弾く学生もいます。だから場合によってはコンサートが4時間、なんてことも起きます。

人気のある教授だと、お客さんが集まる可能性がありますが、その逆だと学生の数=観客数だったりもします。しかし、学生にとっては舞台で弾けることが大切なのでありがたいことなのです。

モーツァルテウムのある教授のクラスコンサートは、ほぼ毎週、水曜日がクラスコンサートでした。コンサートは教室で行われます。学生は、自分が演奏しない時は、他の学生の演奏を聴かなければいけません。欠席した場合は、次のレッスンは貰えない、という厳しいものでしたが、客席はいつもいっぱいなので、学生はきちんと緊張して演奏することができるのです。

ある教授のクラスコンサートは縛りがないので、自分が演奏したらさっさと帰る。よっていつも観客席はガラガラ。ちょっと寂しい。

ある教授はとても気前がよく、クラスコンサートの打ち上げは毎回レストランで全員が招待されていました。美味しい食事をいただくので学生たちは大喜びでした。

コンサートのようす

女性はロングを着る人から、シンプルなワンピースの人、黒のパンツスーツの人、とこれまたいろいろです。日本と違って、ギラギラの大きなドレスを着用することは非常に稀です。ある女性の先生は大きなドレスを禁止していました。(彼女の趣味の問題だと思いますが)
流石にGパンはいません。(こちらの市立音楽学校の子供は発表会にGパン、運動靴で舞台に上がったりするので驚きます!)
男性もラフな格好だとしてもスニーカーはNGです。新入生ならばドレスコードを前もって確認すると良いと思います。

コンサートの後、出演した学生同士は「Gratuliere 」などと言って労います。
「おめでとう、良かったですよ!」という意味です。教授も学生にたいしてそういうので、言われたら素直に「ありがとうございます」と言います。

日本では褒められても「そんなことないです、下手だったです、失敗しちゃったし、あそこもここも間違えたし〜〜〜、あ〜〜〜〜!!!」とダラダラ謙遜するのが礼儀のようになっていますが、まあそれは自分自身にだけ言うようにしましょう。褒められたら、たとえお世辞と思っても、まずは「ありがとうございます」と答えるのが礼儀です。

クラスコンサートなどでは、まずは自分から勇気を出して、同僚(同じ門下生のこと)に「おめでとう」と声をかけましょう。そうしたらあなたにも同じ言葉が返ってきます。目があっても無視する態度は自分にも返ってきてしまいます。

もし、自分が楽屋にいて聴いていなかった、というときでも「私、あなたの演奏を聴けなかったのだけれど、楽屋で聴いたの。綺麗だったよ、おめでとう!」と言えばいいし、「どうだった?きっと上手に弾けたとお思うよ、おめでとう!」と言えば雰囲気も良くなります。(色々な学生を見ますが、これがサラッとできる人は、演奏家としてやっていける対人関係のスキルを持った人です、本当に。。。)

誰かがコンサートでがとんでもない大失敗をしてしまったら?

こういう場合は、本当に見ているほうが困りますね。
ちょっと話はずれますが、最後に私が実際に見た、微笑ましいコンサートの様子をご紹介します。

数年前、某教授のヴァイオリンのマスタークラス(講習会)の終了コンサートでの出来事です。
コンサートも佳境に入り、ある学生さんがブラームスのコンチェルトを演奏しました。

あの曲はだらだらと長く、しかも難しいので、案の定、そんなにお上手ではない、ある学生さんは、小さな間違えをきっかけに、つっかえては止まり、グルグルとおなじ個所を繰り返し演奏し、出口がわからなくなって、ただでさえバカ長い1楽章を何十分もかけて弾きつづけ、さいごはピアニストがむりやり引っ張って終わりに持って行きました。

受講生は全員同じ列に座って聴いていたのですが、後ろから見ると学生全員手に汗を握り、「そこだ!そこでカデンツァにはいってしまえ!!!」みたいに拳を振らないまでも上半身で応援していました。

教授は余裕で奥さんと「あらあら」みたいな感じでニコニコ。怒ってなんかいません。(というか、そんなことで先生は怒らない)終わった時は拍手喝采。「よくやった!!!!」ってかんじでした。

コンサートが終わって、ああ、みんなどうするのかなあと思っていると、学生もお客さんもみんな他の人と同じ様に彼女のところにも行き、お祝いの言葉を述べました。

ある学生は、「ほんとうに心臓が止まるかと思ったよ!!!僕を殺さないでよ!」と言い、ある子は、「あそこ、ホントに危ないよね。はじめに戻っちゃうよね!」と慰め、「しかし、カデンツァでもやってくれるとは思わなかったよ!」(これは密かにウケた。)

みんなにぎやかに笑い合って、どうやったら舞台でパニクらないか、などなど打ち上げでワインを片手に一晩中盛り上がりました。こんな大失敗をしたら、きっと日本だったら、誰も何も声もかけずにそそくさと帰り、彼女はもっと悲しい気持ちになったと思います。

あの夜はとても温かい気持ちになれたのを今でも思い出します。
コンサートに行くのならば、その人を応援する気持ちで行きたいですね。

オーストリアで音楽大学生活をおくると、とてもたくさんの演奏機会に恵まれます。これを積極的に利用して立派な演奏家になってください。