本当に定期的におうけする質問なので、本日リフレッシュします。
今日のお題は、「日本でいう、音楽大学の附属中学校や高校、というものはオーストリアに存在しません」、です。
日本には、例えば、東京藝術大学であれば、その附属高校というものがあります。
そこでは、普通の高校の授業も受けて、音楽のレッスンも受けることができます。桐朋にも東京音大にも、その他多くの日本の音楽大学には附属高校というものが存在します。
しかし、オーストリアに、そのシステムはないのです。
ここ、子供留学を望む方々が多く勘違いをなさっているので、押さえておきたいポイントです。これを勘違いすると、日本で出てきた学校が最終学歴になることが起きてきてしまいます。
ウィーン国立音楽大学を例にあげます。
そこには、16歳までが在籍できる、「才能教育クラス」という部門があります。
(娘は子供の頃からウィーン国立音楽大学や私立音楽大学、モーツァルテウム音楽大学に所属していましたが、当時は19歳以下は全部まとめて「予備科」といわれていました。よって当時の人達の履歴書には「予備科」と記載されています)
ここは小学校でも中学校でもなく、レッスンが受けられ、それに加えてちょっとソルフェージュがあったり、合奏があったり、という機関です。
入試があって、合格したら参加することができます。授業料もしっかり払います。レベルはもう、色々。
「才能教育クラス」のウェブサイトはこちら
話はずれますが、もちろん、ここに所属しても、これだけでは滞在許可はおりません。オーストリアは14歳まで義務教育なので、普通の学校に通う義務が生じます。
もっとずれると、付き添いの親御さんのビザもそう簡単にはおりません。ぜひ、オーストリアの弁護士さんに相談してください。
話を戻します。
満16歳になったら、この上の機関である、「予備科」を受験することができます。
「予備科」についてはこちらを見てください。
レベルについては、こちらはかなりシビアになってきます。好成績を収めるのは、だいたい若い学生が多いのですが、ここら辺の年代がいちばん高い得点を出します(年齢を考慮した評価だから)初めから教授とコンタクトがあって、それから受験するのが好ましくなってきます。
バチェラー(正規のいわゆる音楽大学)の入試で得点が足らなかった人がここに所属することもあります。基本、19歳まで参加できます。
こちらも基本、レッスンとソルフェージュ、学科によっては合奏があったりしますが、前述の「才能クラス」同様、中学や高校ではありません。週に1回のレッスンと、ゆるい室内楽、伴奏合わせがあるくらいです。
滞在許可が下りるか、ちょっと微妙。
おりるべきものなのですが、正直、ダメだった人もいて私はよくわかりません。オーストリアのアルアルですが、ある人はすんなり行って、他の人はダメだった的なことは実際に残念ながらあります。こちらもきちんとした弁護士事務所に依頼する方が安全です。
この予備科はこちらに住む学生にはお勧めです。
なんと言っても、授業料が無料。(外人でも!)そして音大入試のソルフェージュの準備をきちんとしてくれるので、音大入試に助かります。
そして付け加えると、予備科に入学しているからといって、エスカレーター式に音大に入れるわけではない、ということを知っておくことです。入試でダメだったらフツーに落ちます。
さて、これでオーストリアに音楽大学の付属校というものが存在しないことがお分かりになったと思うのですが、それではみんなどうするのでしょう?ふつうの授業はどこでうけるの?という質問のお答えは、「普通の学校に行く」です。
音楽を学ぶことに重点をおいたギムナジウム(日本の中高のようなもの)に、ウィーンではムジーク・ギムナジウムというものが存在します。
ムジーク・ギムナジウムのウェブサイトはこちらです。(またまた話はずれますが、あくまでも大学入学資格検定である、マトゥーラを意識した他と同じギムナジウムなので、ソルフェージュなどの授業があるにもかかわらず、ウィーン大学の医学部に進学する人だっています。何が言いたいかというと、「ムジーク」と謳っていても、お勉強は簡単ではない、ということです)
音大を目指してここに通う留学生もいますが、どこの学校にしても、実際、いきなり中学・高校の授業を普通にドイツ語で受けることになるので、言語のかけ離れたアジアの子供たちにはかなりの負担になることは変わりません。そしてここはギリギリに申し込んでも定員がいっぱいで入れないことが多いので、少なくても1年くらい前からの準備が必要になります。
さてさて、以上のことを考慮すると、日本とは全然システムが違うことがお分かりになると思います。
ですので、バチェラー(日本でいう音楽大学)前の年齢の留学は、きちんと下調べをして準備することをおすすめします。