ピアノを習ったら子供の頭が良くなるのか、それとも頭がいいからピアノが上手なのか問題

ピアノとヴァイオリン

東京大学合格者の約6割が楽器を習っていたというエビデンスもあって、ピアノやヴァイオリンの生徒募集に「楽器を習うと頭が良くなる!」という宣伝文句を使う先生が多いと聞きました。

本当にそうでしょうか?

私の場合、長年いろいろな生徒を見てきた経験で、ピアノやヴァイオリンをはじめる子供たちは、初めからクラシックの楽器をやらせようという知的レベルの高い家庭環境に育っているので、どちらにしても元々の知能が高く、よって楽器も出来る、という結論に到達しています。

*なお、私はオーストリアのウィーンでピアノを教えてきたので、日本の事情は知りません。なので「こんな意見は納得できない!!!」と思う方も多いと思いますが、これは日本のことではないのでご了承ください*

私の生徒さんたちで、趣味ですがピアノを休むことなく楽しむ人達は、例外なく高学歴で、良いところに就職しています。これは本当に判で押したように同じで、私も驚きます。

一日に何時間もバンバン練習するわけではないですが、言われたことをきちんとやり、高い集中力でレッスン中に私が教えたことをその場で習得して帰ります。

勉強の息抜きに練習をする、という学生が多いです。よって学校の試験などがあってあまり練習ができなかったときでも、レッスン中に集中しているので、前回学んだことを忘れていません。

多くの子が国際バカロレアやオーストリアの大学入学資格試験であるマトゥーラの最中でもレッスンに来ました。この試験はかなり大変なので、私は「来なくていいよ」と言うのですが、「息抜きしたいから」と言って来る生徒がほとんどでした。

私の結論は、頭の良い子が楽器に興味を持ったら、楽器もきちんとできるのだ、と言うことです。

それは楽器でない場合もあって、スポーツに現れる子供たちもいます。
知能の高い子すべてが楽器もできる、と言うわけではないし、プロのソリストになろうと思ったらこれはまた違う話になってきます。趣味で、結構いいレベルまでいける、という範囲です。

ピアノがアタマに良い!、という考え方は主に中高年の生徒さんに当てはまります。
45歳を過ぎてはじめた生徒さんが、

「ピアノを習いはじめてから集中力が強くなって、自分でも脳みその違う部分をどんどん使って、頭も良くなってる気がするのよ!」

と言って喜んでいました。

楽譜を読んだり、指と身体を使って新しいことを始めると言うことは、老化防止どころか、未知の能力を伸ばし、幸せ指数をあげる効果が抜群だということもわかります。

しかしこれらの効果は「ピアノに興味を持って、好きで、自分から習いたい!」と思っているからこそ現れる効果です。

音楽に全く興味のない子供に、「頭がよくなるかもしれないわ!」と信じ、無理やりピアノやヴァイオリンをはじめさせても、子供が好きでない限り、何の効果も得られない、私はと思います。

そして学校の勉強ができる子でも、ピアノに興味がなければやっても上手くなんてなりません。

結論、好きこそ物の上手なれ。なのです。

声を大にして言えることは、大人が自分の意思でピアノを始め、成功体験をして喜びを得れば、これは断然「頭(と身体に)に良い!」です。少しでも興味があれば、トライすることを強くお勧めします。