どこの国に行っても偏見というものはあるのだなあ、と思うのですが、今日はそのことについて書きます。
まずは東洋人のママが「教育ママ」だという偏見。これはオーストリアに住む幾らかの日本人ママが経験しているかもしれません。
例えば、自分のハーフの子供の日本語教育をがんばろう!子供にも日本語を身につけさせたい、と思うママが「公文」に手を出したとします。
すると、ご主人のご家族から「なんてかわいそうな!まだ幼稚園生なのに勉強させるなんて!!!日本人はまったく!!!」とやられてしまう。
味方が周りに全然いない場合、日本人ママは泣く泣く諦め、子供の日本語教育はそれ以来どこへやら、なんてはなしは昔よく耳にしました。今はそんなこともないと思いますが。
うちは家族の中で私がいちばん強かったので、何の邪魔もなく公文をやりましたが、
「朝、学校に行く前に公文のお勉強を30分くらいするのよ」と口を滑らせた途端、学校の他の親御さんから「あの日本人の母親は子供虐待」みたいなことを言われました。
楽器を専門にやらせる東洋人の親に対して、オーストリア人の親御さんの敵意に燃える感情は時にすごいものがあります。
娘がウィーンの某音楽を学ぶ子が通うギムナジウム(中学高校)に行っていた時、数人の親御さんが、
「中国人や日本人、韓国人みたいな東洋人が子供に沢山練習させるから、私達オーストリアの子供達が国内コンクールで賞をとれないのよ!」と本気で話しているのを聞いてあまりに呆れた事を思い出します。しかも私、そこにいるんですけど、ドイツ語も全部わかるんですけど、わざと言うんです。
この人達が、日本や韓国ではたとえ「趣味」のお稽古であっても、毎日練習する事を聞いたら目玉が飛び出るくらい驚くのだろうなと思います。
実際、ウィーン国立音楽大学の入学試験はオーストリア人と外国人は分けて行われるのですが、この実技試験を見学すれば、いっぱつで練習量がいかに違うかを体験することができますので、興味のある方は入試をのぞいてみてください(コロナでなければ入試はいつも公開です)
さて、日本人でも偏見のある人はいます。
娘がヴァイオリンを始めたときに、「うちは子供に猿回しみたいなことをしたくないから、楽器なんてやらせないのよ」と言われたことがあります。当時は、「ああ、僻みだな、自分の子供にもやらせればいいじゃん」と思いましたが20年経った今、色々思って「ホホホホ〜」と微笑みが溢れます。
「東洋人のせいでオーストリア人が入賞できない」と散々嫌味を言ったお母さんのお嬢さんは、オーストリア人であるのにもかかわらず、結局音大の入試に落ち、他所の部門に行きました。(入試でオーストリア人はかなり下駄を履かせてもらえるのに!)
うちが毎日3〜4時間練習するというのを聞いて本気で「虐待」と言っていた人です。コンクール前はそれ以上やる人はざら、なんて聞いたらきっと失神してしまうのでしょう。
どんなにひがんだり、ねたんだりしてひとに嫌な事を言ったとしても、結果は正直な姿で自分に返ってきます。
何を言われても、フフンと思って聞き流していれば良いのです。
他人が何を言おうとも、自分の信じることをやっていれば、結局はいい結果になるものです。