これはいつか、かなり久しぶりにレッスンに来た中学生女子の言葉です。もう、小学生の頃から数年教えていた女の子です。
諸事情で何ヶ月もレッスンに来れなかったのですが、今日は久しぶりのご対面です。「いくらなんでも、これはかなり弾けなくなってるんだろうな」と覚悟しながら、おそるおそる、昔やった曲を弾いてもらうと、弾ける(笑)。もちろん、忘れている箇所もいくつかあるのですが、全部暗譜で覚えているの。もう、どびっくり。
彼女は別に専門に進もうと思ってピアノをやっているのではなく、本当に「お楽しみ」「趣味」でピアノを習っています。だからガンガン難曲を弾きまくるのではなく、マイペースでギロックとかの可愛い小曲などを楽しんでいました。私の主義で、一緒に譜読みをして、一緒に部分練習等をやって進めていくのですが、すぐに覚えちゃうので、基本、譜読みが終わったときは暗譜ができてる時、みたいな感じです。だからどんどんレパートリーが増えていって、人前で弾ける曲が沢山あったのです。
驚くことに、小さいのものですが、15曲くらい対して間違えもなく弾けるので、「おうちでいっつも練習してたの?」と聞くと「全然!時間がなかったの」と正直な答え。私はもう、はんば呆れて「あなたは本当に地頭が素晴らしく良いのね。学校の勉強も全然苦労しないんじゃない?」と聞くと、「それは違うのよ」と彼女。
「ピアノはね、本当に好きなの。だから、すぐに覚えられるんだけれど、学校の勉強って、好きなものばかりじゃないでしょう?やらなきゃいけない、と思ってやると、すごく嫌だから簡単に覚えられないの。でも、ピアノは自分の意志でやろうと思って楽しんでいるから、すぐに覚えるし、忘れないんだと思うわ」
もう、ブラボーしかないです。彼女はそう言いますが、学校の成績はかなり良いです。でも、好成績を出すのに、ピアノより苦労をする、なぜなら心から好きでやる気があって、やるワケじゃないから、ということなんですね。子供なのにもう、よくわかっていると感心しました。
弾きながら、どうしてここは覚えているのに、ここは忘れちゃったのか、理由は、とかきちんと分析して説明することもできます。だから基本、本当に頭の良い子だとは思いますが、「好きこそもののなんとやら」です。これが究極の「ピアノ上達法」でしょうね。