海外に例えばオーストリアに移住して、働こうと思ったら何が必要?まずは滞在許可があることが必須

ウィーン生活

さて、こちらに音楽留学して、ウィーンがとても気に入ったので、そのまま卒業してもここに滞在したい、という人は結構います。

弦・管楽器などならオーケストラの入団試験を受ける、歌なら合唱団に入団する、ピアノであればどこかの伴奏(コレペティ)の試験を受けてみる、もしくは教育科に転換するなりして、街の音楽教室にトライしてみる、などなど多くの可能性があります。

外人に閉鎖的なウィーンですが、それでも近年は世界中に「差別をしてない」アピールをすべく、ウィーンフィルでさえ、オケのトラにまるまるの東洋人や女性を数人入れているし、チャンスは莫大に増えてきていると言えます。こちらで音楽留学をした場合は「就職」という形でなくても「アーティスト・ビザ」みたいなもので滞在するチャンスはあります。

しかし、音楽とは別に「フツー」にどこかに「就職」するにはどうしたら良いのでしょうか?

まず、多くの企業は、その人がすでに「正当な滞在許可」を取得していることを雇用条件とするので、それがあることが必要になってきます。不法滞在の人は当然ですが就職できません。

そして、留学生のよくハマる問題ですが、日本でいう、いわゆる「アルバイト」というものはこちらには存在しません。

すべての「雇用」はきちんと社会保険を治める正当なものでなければいけないのです。だから、働いて現金で報酬をもらう、なんてのは超違法で、雇う側も雇われた方も、怖いペナルティを受けることになるので要注意です。まず、この時点でハードルが「どん!」とあって、簡単でないことがわかります。

どんな人が滞在許可書を既に持っているか、というと、欧州国籍の人と結婚したことにより権利を得た人たちです。その人達は一定期間以上、どこかに勤務すれば、きちんと失業手当ももらえるし、生活保護を受けることも可能です。オーストリアは社会保障大国なので、子供がいればいわゆる子供手当も貰えるし、悪くないです。

さて、それでは滞在許可が全くない人は、こちらで働いたり、滞在する権利はないのでしょうか?

私の知る限り、かなり難しいと思います。
しかしながら、あなたがあなたにしかできない特技を持っていたら別です。それは、例えばお寿司職人さんや日本食などの経験と実績です。レストランによっては、滞在許可を申請してくれる可能性があるかもしれません。

そして若い人に、余計なお世話だけれど言いたいこと。

それは、どんなに終身雇用の消え去った現代とはいえ、「学歴」は大切だということです。

演奏家などでバリバリやってる人は関係ないですが、凡人にとっては、やっぱり大学卒業の紙切れは世界中どこでも通用する大切なものです。

別に有名大学でなくても良いのです。何でもいいから、修士・学士、があれば、年収はない人に比べれば数百万円の差になるし、何よりも、希望の職種の選択技が広がります。

そして海外で働きたいのなら、そして希望の職種を選びたいのであれば、最低でも英語、現地の言葉が普通に話せることは欠かせません。それも「仕事として通用する」外国語ができなければいけません。すなわち「きちんと書けて、読める」ということです。

「移住」とひとことで言ってもそう簡単ではありません。正規の大学生であったり派遣社員でない場合は「滞在すること」自体が難しいのです。

でも、偶然に偶然が重なり、人生の半分以上をここで過ごし、年金生活まで突入する私のような人間もいるので、人生とは本当に何があるかわかりません。しかしながら、備えあれば憂いなし、移住を希望するのであればしっかりと下調べをして、準備することをオススメします。