ピアノやヴァイオリン 舞台での「あがり予防」に「くすり」は有効かどうか?

ピアノとヴァイオリン

これまでも「あがり」に関する話題はたくさん出てきたし、そのためには「瞑想」が良いよとか「うちでいつもリハーサルをしよう」なんて書いてきました。もちろん、「あがり止め」の薬の存在はしっていましたが、これはもう、話にも出せない、やるべきではないこと、と私の中で片付けてきたのですが、昨日、ある学生と話してこの事を書いてみようかなと思いました。

さて、その学生さんはある試験に最近合格したのですが、その話を私にしてくれました。

「実は『あがり止め』の薬を主治医に処方してもらったのよ。そしたらまあ、今までにないくらい落ち着いて、それはもう、素晴らしく弾けたの!」

というではないですか。
この学生さんは決して下手ではないのですが、とにかく人前で緊張します。でも、私から見ればそんなにひどい緊張ではないのですが、本人はとても辛い。実力以上に舞台の上で演奏できたことがないといいます(まあ、普通だと思うけれど)

私は、見ているこちらまでが緊張してしまうほど、もう、ガタガタに震え、泣きそうな顔で演奏している学生を見たことがありますが、そういう人たちはもとから弾けていない場合が多いです。

「きちんとした指導を受けたことがない」→「もとから凄く弾けるタイプでもない」→「自信がないからあがる」という、全て残念な条件が重なった場合、誰が見ても泣きたくなるほど緊張して、ヴァイオリンでいえば、弓が震えて上下しているのが観客に見えるくらいに上がってしまう人の構造です。ピアノでいえば座っているのに足が全部ガクガク震える、くらいの強度の上がりです。

しかし、上記の学生さんはそれほどあがらない。それなのに、本人はとても気に病んでいて、クスリに手を出した、ということです。私が見てきた経過では、本人が思うほど、緊張で下手になってはいない状態です。

さて、それで今日考えたことなのですが、「本当に『くすり』が必要か」ということです。

私の考えは、たくさん舞台を踏む人はやめた方がいい、です。クスリについて詳しくはありませんが、毎月服用して大丈夫なのかしらという不安があります。

そして「緊張しているからこそ良い演奏ができた」と思える人はやめた方がいい。

一方、使っても良いかな、と思える例は「人生を変えるほど大切な試験・本番の場合です。

例えばオケのプローべで、それに受かってしまえば安泰な場合です。もちろん、オケのトゥッティで弾くのに死ぬほど緊張する、なんて人はそうそういないと思いますが、トッティに乗るたび服用なんて論外です。

あとは入試などで年にチャレンジする回数が決まっている場合もひょっとしたら助けになるかもしれません。

あまり素晴らしい効用結果を聞いたので実はすごく驚きました。これが助けになる人もいるかもしれないと思って書いてみました。