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アルペジオとは?
アルペジオとはザックリ言うと、和音の構成音を単音でバラバラに弾くことです。ドミソドミソド、とかです。この練習はスケールの練習同様、とても大切です。
和音・アルペジオの教え方
さて、それでは和音とは?まずは3つの音から成る、三和音を見てみましょう。私が子供に教える時のやり方を使いながらご説明します。コツはさりげなーく、和音の種類を子供の頭に植え付けることです。、とここまで書いて気が付いたのですが、私の生徒さんは、ほぼ西欧人かハーフ。。。ということは手が大きいです。(6歳児でも私と同じくらいの大きさだったりする)日本の小さな手の子供に、導入時点でアルペジオ、というのは多分一般的でない気がしてきましたが、書きはじめたので書きます(笑)
長三和音(ド・ミ・ソ)
まずはドミソの和音を弾いてみせます。ご存知、長三和音。ドから白鍵のレとファを抜いた和音ですね。私はサンドイッチと勝手に呼んでいます。ドとソがパン。ミがハム、とかです。さて、どんなふうに聞こえますか?ちょっと楽しい感じなので、「ハッピー」または「スマイリー」ということで子供は納得します。
短三和音(ド・ミ♭・ソ)
次に真ん中の音、ミを半音下げてミ♭(Es)を弾きます。言わずと知れた短三和音。そうすると子供は、おおーっとなるので「悲しくない?なんか飼ってたハムスターが死んじゃった、って感じだよね。」(表現は御自由に変えてください。。。。)生徒はかなり納得してくれます。「真ん中の音を半音下げると、悲しくなるんだ!」この時点で全員、自分でやりたがります。この和音は「悲しい」で決定。
まずは長三和音と短三和音を弾いて、「悲しい」「楽しい」を聞き分けてもらいます。この違いがわからない子供は、いません(今まで、私のところでは少なくとも。。。。)
減三和音(ド・ミ♭・ソ♭)
次はこの短三和音のソの音を半音下げて弾いてみてくれる?と言って自分でひかせます。ド・ミ♭・ソ♭となります。ご存知減三の和音。この和音を聞いて「うぉ〜〜〜!」とならない子供はまずいません。即、「ドラキュラ」とか「ホラー」と命名されます。ドイツ語では「ミステリアス」と表現して定着しています。
増三和音(ド・ミ・ソ♯)
長三和音の一番上のソを半音上げてシャープをつければ増三和音の出来上がりです。これはその不思議な響きから、私の時代なら「魔法使いサリーちゃん登場」なのですが、そんな事を今の子供に、ましてや外人にいってもウケないので、ただの「魔法使い」とします。
*スケール同様、アルペジオを教えるときにも、私は教材を使いません。まずは『ド』からこの4種の和音を聞かせて違いをよく聞いてもらいます。これにかなり時間をかけます。
「わかったな」という手応えがあったら、「はい、じゃあ、『レ』の音から上に悲しい三和音を作ってくれる?」みたいに聞きます。、というか多くは自分から率先して作ろうとします。で、できたら、「じゃあ、これを楽しい三和音にしてくれる?どうしたらできると思う?」「真ん中の音を半音右にずらせば良いんだよ」って答えが出てきたらもう、教え方は成功、ばっちしOKです。自分の耳で考え、音を探して作ってもらいます。そうすると楽しいですし、忘れません。これを嫌いな子供はまずいません。
実践!バラして弾いてみよう!
やっとアルペジオの導入に入ります。かなり念入りに、用心深く細かく分けて教えていきます。
まずはじめに、右手で長三和音のド・ミ・ソを1、2、3の指でひいてもらいます。その時に指だけで弾かないように、手首を柔軟にします。ドーミーソー、ドーミーソーと何回も力が入らないで弾けるまでやります。そしてそれが出来たら、5の指で上のドを弾きます。先生がいる人は見てもらってください。先生がいない場合は、1の指から5の指に移動する時、大袈裟に言えば手首で弓を描くような感じをイメージしてください。手が大きい人でも、指だけで弾かないようにするといいです。子供には定番の、「虹がかかった〜♬」みたいな感じで教えます。「エレガントに移動するのよ〜、エレファントじゃないのよ〜」と言うと大抵ウケます。付き添いの親御さんも笑ってくれます。(これはブロン先生からの受け売り(笑)
ド・ミ・ソ・ド(上行)ソミド(下降)指番号は
1、2、3、5、3、2、1となります。
まずはこれを脱力して楽に弾けるようにします。それが出来たら短三和音を弾いてみます。力が入っていたら絶対に次のステップにいきません。細かい動きに注意して、出来なければ一歩下がってと根性を入れて教えます。
2オクターブ以上のアルペジオを弾く時には「脱力」が正しく出来ていなければなりません。先生にきちんと指導してもらってください。ツィッターなどで趣味のピアノの方多くが脱力ができている人が多いことに驚きます。みなさんとても研究熱心だと思います。ただしやりすぎも問題で、肩から肘までがぶるんぶるん泳ぐような脱力はやりすぎです。あくまで柔軟な手首と肘がポイントです。先生に指導してもらってください。
中級以上の人のために、毎日のアルペジオの練習
毎日のアルペジオの練習 (、って何を弾くの?)
私がロシア人の教授から習った毎日のアルペジオ練習の種類を、ざっと書いてみます。括弧内はCからの場合。これもスケール同様、毎日全調やる必要はありません。毎日、違う調を決めて、早く弾けば良いというものではありません。きちんと、誠実に、ときにはリズム練習も取り入れてみてください。
- 長三和音(C E G)
- 短三和音(C Es G)
- 減三和音(C Es Ges)
- 増三和音(C E Gis)
- IV度調 の回転系(C F A)
- IV度調の回転系のmoll (C F As)
- VI度をプラス(C E A)
- 属7和音(C E G B)
- 減7和音(C Es Ges DoppelB)
- 長7和音(C E G H)
この他、気分が乗ったらII度調属7やIV度調、VI度調の属7の回転系をプラスしてやってみるのも良いです。これを読んで「げ、何言ってるの?」と思う人は、ピアノの先生に聞いてみてください。ピアノの先生なら誰でも簡単に説明ができます。
属7の和音は手の小さい子には難しいので出来そうな場合のみにやらせますが、どうしてこの属7のアルペジオを習慣づけると以下の長所があります。まずは、全ての基音からの属7の和音を弾きながらドイツ語で暗記してしまいましょう。CEGB, DFisAC, EGisHD etcetcetc
専門にやる人に取っては、楽典の試験の時に超楽!!!
ご存知のように、属7は長3度・完全5度・短7度で成り立つ和音です。丁寧に書くとドからミが長三度、ドからソが完全5度、ドからシ♭が短7度。すべての属7を弾く習慣があって暗譜できていれば音程問題なんてへのかっぱです。私は恩師にこれを習ってとても助かりました。
コードネームだけ見て演奏する時に楽
属7の和音とはポピュラーやジャスでいうところのセブンスのひとつです。こんなふうに書いてあるのをみた事があると思います。→ C7。ポピュラーの単旋律の上に書かれていたりしませんか?これをみて伴奏つけしたりすると思うのですが、属7を暗記していつも弾いていれば、手がぱっとそこに行くようになります。当たり前ですが、属7の和音を経由して転調したりします。アルペジオの練習をするという事は、ピアノのテクニックだけの練習ではなく、即興等のアレンジメントをする時にも大いに役に立ちます。
これらの練習は、義務になると最悪ですが、「楽しい!」と思って毎日行えば、かなりのピアノ財産が身につくことをお約束します。やりたい人だけが、やってください。ピアノのレベルアップ、鉄板で保証します。