本当に難しい「子供のヴァイオリン」のピアノ伴奏について(共演でなくサポート)

ピアノとヴァイオリン

伴奏談義は多くの人の温かいご意見をいただいて、本当に嬉しかったです。ありがとうございます。

今日は自分の失敗談をもとに、「子供のヴァイオリン」の「ピアノ伴奏」について書きたいと思います。この場合、あえて伴奏としました。なぜなら、多くの場合は子供と「共演する」というより、サポートする、という意味あいが大きいからです。

稀に、音大生よりもレバートリーがあって実際に上手な子供がいますが、そういう子供は外します。そういう子達とは「ピアノ共演」となりますが、あえて、今回はサポートという意味で書きます。

まず、私の恥ずかしい経験からです。

みなさんご存知の通り、私はピアノを仕事としているので、がヴァイオリンをはじめ、ピアノ付きの曲を弾くことが楽しくてたまりませんでした。

ヴァイオリンはピアノと違い、小さい頃から「コンチェルト」を弾きます。(こちらでは)ピアノ譜はオケのピアノ編曲版です。コマロフスキーやリーディングなど、ピアノ譜もキレイなメロディいもあって、楽しい楽しい〜です。

「さて、いよいよ私の出番だわ!娘と一緒に弾ける!たくさん楽しまなきゃ!」なんてワクワクしてレッスンに行くのですが、まず教授に言われたことです。

「ピアノうるさい!!!!!音量落として!!!」

はあ?生まれて初めてそんなことを言われて本当にショックでした。左のウナ・コルダを抑えっぱなしでも(本当はこれは良くないやり方なのでダメです)

「まだまだうるさい〜〜!もっと落とせないの?」

ショックでがっかりです。慣れるまで本当に1年くらいかかりました。今では子供用にかなり抑えて弾くことができますが、当時はもうショックで(笑)何やっても否定されている気分でした。

でもこれ、あったりまえのことなのです。フルサイズのヴァイオリンでも、ピアノに比べれば物理的に弱小で、弦だって4本しかない。それに比べたらピアノは怪物なみの大きさです。

それが「16分の1」みたいな、おもちゃのような小さなヴァイオリンと一緒に弾くのです。普通に弾いて良いわけがありません。でも当時の私は室内楽の経験も浅く、全くピンと来なかったのです。

特にヴィヴァルディのa-mollのコンチェルトみたいに、ピアノがガンガンオクターブの連続を弾きまくったら、分数ヴァイオリンの子供が。その楽器がたとえアマティの分数だとしても、音量的にはバランスが悪く、完璧に負けます。

だから、分数楽器の子供と弾くときは、共演ではなく、完璧にサポートを意識しなければいけないのです。

あと、コンチェルトを弾いていて、オケの間奏になると「やった!私の出番!!!」と思って張り切って全部弾こうとするのですが、レッスンでも

「時間がもった得ない!飛ばして!」

となります。クラスコンサートでも、多くの学生が数曲弾く場合、時間がおせおせでピアノのオケ間奏を観客に楽しませる時間は端折らなければならないのです。

(もちろん、学生がオケと演奏する前などの場合は、ピアノはオケの間奏部も全部弾きます)

で、何が言いたいかというと、子供相手の場合は「共演」というより「サポート」が非常に大切だということです。

時に親御さんが張り切って、ガンガンうるさくピアノを弾いてしまう場合を良く見ます。自分の当時を思い出して、親御さんの気持ちがわかるとともに、非常に残念だと思います。きっと指摘してくる人がいないのでしょう。「子供だから」と思って一緒に楽しみたい気持ちはわかるのですが、コンクールなどではプロに任せた方が無難です。

そしてこれは本当にアルアルですが、親御さんによっては、「こんなコレペティにギャラを払って弾いてもらうなら、私の方がマシ!」と信じて疑わない人がいたりすることです。はっきり言いましょう、「伴奏の先生の方があなたよりずっと丈夫です」。経験のない人は、伴奏のピアノでは何が大切か、というのを知らない人が多いです。特にコレペティ文化のない国から来た人にはその傾向が多いです。もちろん、そのコレペティが、音も全部弾かないし、間違えばっかりでひどい、というのならば別ですが、そういう場合は自分できちんとした伴奏の先生を頼みましょう。

その子供も大きくなり、それこそフルサイズのヴァイオリンでソナタを弾くくらいになると「共演」の始まりです。もちろんソロのようにガンガン弾くことはできませんが、同等に楽しむことができます。

ピアノを弾く親御さんは、その日を楽しみに、毎日練習に励んでください。私も頑張ってます(笑)