コンサートでの拍手いろいろ 欧州のクラスコンサートの場合や国による拍手の捉え方の違いについて

ピアノとヴァイオリン

ご存知の方がいないかもしれないので書きますが、私はここ、オーストリアのウィーンに移住して軽く人生の半分以上を過ごしています。その間、ほぼ帰国していません。なのでかなり日本の事情を知りません。よって「今の日本は違うぞ!」と思われる方もいらっしゃると思いますが、あくまで私の私見です。

今日はコンサート、演奏会などでの『拍手』についてです。
「ここだったらこれが普通」みたいな事を書いてみたいと思います。どうしてこのお題を思いついたかというと、某所でのある日本人の方の発言を見て少し驚いたからです。

その方は(日本の)コンサートで、近くの席のある人が、とても『大きな音』で、『長い間』拍手をしていたことに憤慨されていました。

もちろん手のあたりどころを見つけて「大きな音の拍手」をすることは可能ですが、よっぽどの爆音だったのでしょうか?詳細わからないので、どのくらい長い拍手をしていたのかも不明ですが、ひとりだけ最後まで10秒以上拍手をしていたらかなり目立つと思いますが、その点も分かりません。

まず、欧州で長い拍手に苦情をいう人を見たことがないので、まずこの点に驚きました。

例えば、クラスコンサートなどで、数人が演奏するコンサートの場合(日本の発表会みたいなやつ)演奏をねぎらって長い間拍手をする場合がありますが、これは、舞台に去った奏者が、カーテンコールのようにもう一回舞台に上がって、礼をするという機会を与えているのです。拍手がなくなったら、次に演奏する以外はもう、舞台には出てこれません。だからみんな一生懸命に拍手するのです。

これが習慣になっているクラスは、もうお約束のようにやります。拍手されている側も、ぐずぐずせずにさっさと舞台にもう一回戻り、礼をしてサッと舞台から去る。そしてさっさと次の人が出て演奏する、みたいな感じです。流れがあるので、見てていて気持ちが良いものです。若い子の多い予備科のクラスや、「本気組」の多いクラスはこの傾向が強いかも。

もちろん門下にも色々あって、しらっとして拍手もちょっとですぐ次の人、というところもあります。

書いていてもう10年以上前のことを思い出しました。
ある日本人ばかり在籍するヴァイオリンクラスでは、毎回のクラスコンサートであまりに拍手が小さく、かつ少なく、短く、なんて人の演奏に対して冷たいクラスなんだろう、と思った経験があります。しかしあれは今思うと、日本の「礼儀正しいマナー」だったのかもしれません?!

ソロコンサートの場合ですが(ソナタの楽章ごとに拍手しない等の当たり前の話はさておいて)1時間以上休憩を挟まない場合、拍手が少ないと奏者はかなり疲れることになります。だから演奏が素晴らしければ(もちろん普通でも)拍手は節約する必要がない気がします。

多くの国で演奏すると、その国民性がよく出て興味深いものですが、演奏者にとってみれば大きな長い拍手は本当に嬉しいものです。