これは大人になってからピアノを始めた人から良く聞く言葉です。
「一生懸命に毎日練習して、頑張ってるんだけれど、自分の演奏を録画にとってみると、なんかこう、ダサいんです。。。」
なぜ「ダサく」見えてしまうのか?どうして「カッコよくみえないんだろう?」
その答えは本当に簡単で、身体や(特に)『手』がピアノ仕様になっていないからです。
で、どうしたら『ピアノ仕様の手』や『ピアノ仕様の身体』になれるのか、といったら、実際、もう練習時間の積み重ねしかありません。
しかし、大人になった今、子供時代から大人になるまでのピアノの練習時間を取り戻せるわけはありません。しかしながらできる事はまだまだあります。
まずは鍵盤に触れる機会を、本当に増やすことです。これは『練習』と言うことにもなるのですが、とにかく触ることです。
先週、ピアノを始めたての趣味の小学生男子のレッスンでやったお遊びです。このお遊びのきっかけは、彼が「モーツァルトって目隠ししてピアノを弾いて遊んだんだってよ。どうやったんだろうね」と言ったのがきっかけ。
「こういうんじゃないの?」と言って私が目をつぶってトルコ行進曲を弾くと、「めちゃめちゃクール!」と言ってよろこんでくれる。こんなこと、音大出の人なら誰でもできるんですが、素人ウケは抜群です。非常に喜んで、やろう、やろう、となったわけです。
といっても、趣味でお遊びのピアノの子が、いきなり目をつぶって曲を弾いても、変なことになるだけで練習にはならない。なので、もっとお手軽なゲームをすることにしました。
はじめに右手の1の指を『ド』の場所に置かせます。そして目隠しをする。
私が、「じゃあねえ『ド』と一緒に3の指で『ミ』を弾いてごらん」というと、彼がジャーン、と弾く。おお、出来た出来た!
「次はね、5の指で『ソ』も一緒に弾いて」
というと、「ドミソ」和音をジャーン、と弾く。きゃあ、面白い面白い〜となる。
で、「ここから難しいよ、」なんて言いながら、「じゃあね、その3の指の『ミ』にフラットをつけてみよう」
ジャーン、と短三和音の暗い響きが鳴る。
「じゃあ、次は『ド』から飛んで3の指で『ソ』を弾いて、その上の『ド』を5の指で弾いて、そっから、ハ長調のスケールの下降を1オクターヴ弾いて、『ドミソ』って弾いて、なんて複雑になるともう、本当に馬鹿ウケです。
もちろん左手もやります。
これね、私は想像していたのですが、案の定、彼は家でひとりでやったそうです。
目をつぶって、私が出したような指令を自分で自分に出すのです。これが出来ると面白くなってくる。こういうお遊びがピアノの鍵盤と手をフィッティングさせていくのです。
『練習』をするのは、当たり前に大切なことで、上達したかったらこれはもう、超マストです。しかしながら、こんなふうに遊んでみましょう。とにかく手のひらの中にいつも鍵盤を感じること、これがダサく見えなくなるまず初めの一歩です。