ピアノでもヴァイオリンでも、教師として働くのなら、自分も現役で弾けたほうが絶対に良いという件

ピアノのお部屋

*写真はショッテントアにあるベートーヴェンの住んでいたおうち*

こちらでは、音楽大学の教授になる為には演奏の試験というものがあります。
今はコロナで事情が変わっていると思いますが、それでも自身の演奏30分くらい、そしてタイプの違った学生2人を公開で指導することがセットで採用試験、となっています。

ヴァイオリンでここ数年採用された女性2人は、特に有名な国際コンクールに入賞した人達なので、本当に上手です。指導も素晴らしいです。

さてさて、今日は何を言いたいかというと、別に音楽大学の教授や講師でなくても、教えるからには自分も演奏することを学び続け、そして演奏し続けたほうが、生徒にとっても、教師自身にとっても人生が豊かになって、良いんじゃないかということです。演奏活動をアクティブに続けていらっしゃる方も多いと思いますが、多くは、大半以上は自身が演奏することをやめていると思います。

ちびっ子ばっかりの教室だったり、特に音大を目指すような子供がいない教室であっても同じです。せっかく音楽大学でピアノ科やヴァイオリン科(他の楽器でもいいんだけど)を卒業し、ショパンコンクールに出るほどの実力がなくても、ある程度は弾けるはずです。自分が練習する時間がないとか、子供がいるわとか、いろんな言い訳はたくさんあると思います。それでもあえて、自分で何かを人前で弾けるレベルまで学ぶのは楽しいことです。

ピアノを弾くのが嫌いだわ、お金のために教えてるけど、なんて人もきっといらっしゃると思います。
まあ、そういう人はいいんですけど、人それぞれですから。

私の場合は、自分がフルタイムで働いて、本当に時間がなかった時は、正直、練習してませんでした。
娘の伴奏をチョロっとするだけで、たまにお遊びでいろんな曲を引っ張り出してきてチャラチャラ弾くくらいでした。でもそうすると、やっぱり私の場合は教師としてもイマイチでした。あくまで私の場合ですが、教え方が「薄く」なるんです。こう、説得力がないというか。

極端ですが、人様にタッパウェアや鍋やフライパンを売る商売も同じだと思います。
「なんて素晴らしい鍋なの????これで作った料理はもう、世界でいちばん、大絶品よ!!!!」と思えば、顧客にすっごい勢いで、説得力のあるセールスができると思います。鍋もガンガン売れるでしょう。
ちょっと変かもしれないけど、ピアノもヴァイオリンもおんなじようなもんです。と、私は思います。

自分が演奏から離れると、「演奏」というものをひとに伝える時、薄っぺらで、ペラペラになるんです(あくまで、私の場合ですけど)誰でも言えるような指導しかできなくなる、と何回も感じました。特に学生の曲がそれなりになってくると、こっちが弾けない曲は指導できません。それこそ、いい加減な指導になりがちです。ちゃんと、弾けないとダメです。

話変わって、わたしたちの大好きなヴァイオリンの教授はなんでも弾けます。どんなにマイナーな曲を持って行っても「楽譜を見ないでスラスラ弾けちゃう」ので、本当にありえない方なのですが、私がもう、関心しきって、

「先生、どうしてこんな超マイナーな曲でも、どんな曲でも先生はすぐに弾けちゃうのですか?」と伺ったところ、

「私の若い頃の教授がそういう人だったんです。(オイストラフ)だから、私も死ぬまで彼のようにありたいと思って、いつも練習しているんですよ。あなたもそうしなさい」

とおっしゃられました。四捨五入したら80歳の先生、本当に教師の鏡です。
私も本当にそうありたいと思います。

学ぶことは楽しいです。せっかく音楽大学で学んで、子供の頃からしか出来ないことをやってきたのです。今辞めてしまうのは残念です。別にコンサートやコンクールがなくても、ひょんなことで演奏する機会はやってくるかもしれません。その日に備えて、小さな曲でいいので、仕上げて楽しんでみませんか?