オーストリアのワクチン接種事情。打って仕事の自由を獲得する人と、絶対に打ちたくない人達。音大生のお話。

オーストリア・ウィーン情報

オーストリアの新型コロナウイルス、有効再生産率は7月初め以来初めて1.0を下回り、0.96となりました。これは簡単に表現すると1人の陽性患者が0.96人に感染させる、という事です。オーストリアのワクチン接種者は伸び悩んでいるものの、最低でも1回は摂取した人を含む割合は6割を超え、幸いなことに以前のようなロックダウンにはなりそうもありません。やれやれです。しかしながら、専門家によるとさらに80万人分の予防接種が必要とのことでまだ道は長いです。オーストリアはファン・デア・ベレン大統領をはじめ、極右政党の自由党以外はワクチン接種を呼びかけ、協力と安全を求めています。

さて、ワクチン接種の状況を眺めてみるとこんな感じです。
私の周りにいる人達は100%接種しています。親御さんが勤務で海外への出入りが多い環境の人は特に、12歳の生徒でも接種しています。

しかし、絶対に受けたくないという接種拒絶の人達も少数派ですがいらっしゃいます。理由はワケがわからないので怖い、という方が大半のようです。アレルギー反応が出るので、本当に打てないというかたももちろんいらっしゃるはず。

私としては、みんな自分の好きにすれば良いと思いますが、国の方針としてはもちろん接種を推奨しているので、今後、さらに10月からは非接種者への規制が強くなってくる事は予想されます。

奨学金を出したり、楽器を学生に貸与している、ある協会長は、某国の学生達がワクチンを摂取しないことに怒り心頭、「ワクチン反対派に出す金も楽器もない!」と言って、近日、接種していない学生全てになんの援助も出さない決定を出した、というすごい話もあります。これはもう、頑固ですごいなあと思いました。この奨学金を受けていたひとりのベラルーシの学生は、帰国時にコロナ陰性証明を不正に「購入」してオーストリアに入国したので、あまり同情はできないのですが。

きっと誰だってワクチンなんて打たないで済むのであれば、打ちたくないと思います。
私の場合は、教師という職業上、誰にもうつしたくない、うつされたくない、ワクチンを打っていれば重症にならない、それに身動きが自由になるという事から、打たない理由が見つからない立場にいるので打っています。もちろんワクチンを打っていても感染するし、うつします。ただ、うつされにくく、うつしにくくなるだけ。だから2日に1度のPCR検査は欠かせないし、マスクだって着用します。交通機関、店内でのマスク着用は、オーストリアでは義務です。

娘にしてもそう。打っていなければ外国に居る教授のところにすんなりいけなくなる、コンサートにしたって、そのうち2Gになるので、非接種者は演奏会を聞きに行くどころか、演奏する事自体できなくなる時が来るでしょう。もう、この商売をやっていたら、残念ながら現実的に嫌だなんて言っていられないのです。嫌な事ですけれど。。。。

そこで誰よりも気の毒なのが、打ちたくても打てないアレルギーなどのある人達です。
不正でなく、こういう人たちが守られるように正式に何か決まれば良いのに、と思います。
たかがワクチン、されどワクチン、いずれにせよ、私達のような、打たなければいけない職種の人は今のところ覚悟をする以外なさそうです。