オーストリアの音楽大学で、室内楽の単位をクリアするのは、なぜ、こんなにも難しいのか、の件

音楽留学のために

*写真はお天気の朝のウィーンのオペラ座です*

日本から来た学生さん達同様、うちの娘も同じ難問に遭遇することが多々あります。それは何かというと、こちらの音楽大学で取らなければいけない「室内楽」の単位です。

初めから、とても仲の良い気の合う仲間と室内楽を組んで、楽しく演奏して勉強もできれば、これはもう、最高にラッキーなのですが、実際にそう簡単にいかないのがこの世の中です。気の合う、そして同じようなレベルの仲間を見つけるというのは、想像よりも遥かに難しいのです。

その原因のひとつとして、日本ではあまり考えられない理由があります。
それは「時間を守らない(守れない)学生」が想像よりも、多いということです。これで日本から来た学生さんたちは特に「うっそ〜」となります。日本ではあまりないと思います、こんなこと。

元々室内楽に興味がなく、単位だけで面倒だな、なんて思っている人は「嫌だな〜、なんか病気っぽいし、よし、行くのはやめよう!」なんて決断を簡単に下してしまいます。他のメンバーのことなんて、考えません。「行くのが嫌だから、とりあえずやめよう。試験やコンサートの前に初見で一回くらいやればいいや〜」て感じです。

これで泣く日本からの留学生も少なくありません。真面目に室内楽を学んで楽しみたい学生が、そんな学生と組んでしまうと地獄です。

初めはやる気がありそうだったのに、いざ始めてみるととんでもない怠け者だったり、時間感覚ゼロの人間だった、なんて気がつく事も多い。

その時間感覚以外でも、レベルがあまりに違うとこれまた問題になってきます。音程が悪いことを全く気にしないで弾き続ける人。さらにひどいのは、絶対に練習してこない人、です。

弦楽器はバッチェラー(音楽大学部)を終えると、大学院に進むのですが、その際、「オーケストラ」か「室内楽」を選ばなければなりません。前は「ソリスト」の部もあったのですが、これは「音大の都合」でなくなってしまいました。(本当に残念すぎる決定)なので、ソロ志望でも、この単位数のやたら多い「オケ」か「室内楽」を選ばなければならないのですが、娘曰く、室内楽はメンバーを探すのがもう難儀、という事でした。

合わせの日を決めてもドタキャンする、レッスンの日に来ない、その度に日程を組み直し、教授に真面目に出席しているメンバーが文句を言われるので、たまったものではありません。

しかし反面、気の合う、そして同レベルのメンバーを見つけた学生は本当に幸せです。ウィーン国立音楽大学出身の「シンプリィ・カルテット」なんてまさにその代表で、メンバー全員、本当に楽しく切磋琢磨して実力をメキメキ上げています。本当に上手です。機会があったら是非彼らの演奏を聴いていただきたいです。

室内楽は理想のメンバーと巡り会えたら、本当に幸せです。