最近ブログを書いていなかったのですが、これはムスメがカザフスタンのアスタナというところのヴァイオリン国際コンクールに参加していたからです。結果を先に書きますが、2位でした。
コンクールはコンクールなので、私たちとしては結果に満足。
コンクールの内容や仕組みについてはこのブログでは掘りません(笑)が、旧知の人には、多少のアドヴァイスができるかもしれません。色々興味深かったです。それはさておき。
今回は「言葉の全く通じない国に女性がひとりで行った」という体験にフォーカスして書いてみたいと思います。以下は娘の感想なので、同じ状況においても、「そんなことはない」というご意見もあるでしょう。人の感じ方には違いがあります。よって、今後、同じようなコンクールに参加する人の為に書きます。普通の観光者向きにはならないのでご了承ください。
私は同伴せず、娘がひとりで行きました。
なぜ同伴しなかったかというと理由は簡単、お金がかかるから。
欧州からアスタナまで、安いフライトチケットはありますが、うちの場合はフライトチェンジをしたりしたのでルフトハンザで往復軽く2000ユーロ以上飛びました。戦争の事などを考慮に入れると、マイナー航空券を購入するチョイスはゼロ。なので、メジャーで2人だとその倍。ないない、絶対にない、行けません。
その地の言葉ができて、何が起きても対処できる人はどんなフライトでもどう行こうが良いのでしょうが。。。。
特に演奏前は双方ナーバスで喧嘩になる率マックスなので、その為に私が行かない方が良いかとの判断もありました。(でも今考えると微妙。賞金もらえるってわかってたら、行った方が良かったかも)
ホテルはやや、高めのホテルを彼女が自分で予約をしました。これも私がいったら倍の値段になるのでパスの理由です。
全く知らない場所にコンクールで行く場合、予算の許す限りきちんとしたホテルを予約するべきです。これはドイツ語ができない人がウィーンに来る時もある程度は同様だと思います。うちの場合は、英語が通じて、1泊だいたい100ユーロのホテルをブックしました。カザフスタンは物価が安いので、これだけ出すとちょっと豪華でした。それと当たり前ですが、「練習できること」
これは渡航前からしつこく確認します。娘の場合は、23時まで自由に弾ける許可を書面であらかじめもらっていました。
娘曰く、この状況で安い、安全性の見えないホテルだったら耐えられなかっただろうと。ヴァイオリンも借り物だし、心配したらキリがないほどです。
想像はしていましたが、現地で英語を話す人はとても少ないです。
娘はカザフスタン出身の友人からたくさん情報を得ていましたが、そのひとつが、「スーパーやタクシーで英語を話せる人はほとんどいないと思っていい」でした。そしてその通りだったそうです。
ホテルのコンセルジュの女性はとてもフレンドリーで英語も上手でした。
私のメールにも即答えてくれて、タクシーの手配もきちんとしてくれました。対応は立派で大満足でした。
しかしながら、レストランのスタッフや清掃の人達はほぼ全員、全く英語を話しません。だからルームサービスを電話で頼んでも切られちゃう(涙)後からコンセルジュの女性が電話でフォローしてくれたそうですが、それだけで娘はがっくり落ち込んだものです。1時間経っても、スープが来ない、みたいな感じです。
清掃の女性などは皆さんフレンドリーで優しかったそうです。最終日に娘はモーツァルトクーゲルをスタッフの人たちにプレゼントしたのですが、わざわざ部屋まで来てお礼を告げられたそうです。英語できないのに、その気持ちは充分に伝わったそうです。しかし、男性というとちょっとわからないので別です。
タクシーの運転手さんは、ホテル付きの運転手さんだと普通だけれど(それでも英語はできない)ラストミニッツで、コンクール運営が呼んだタクシーは、雰囲気からしてもう、絶対に無理な感じだったそうです。どういう感じかというと、明らかに道を間違えている様子がある(それだけで誘拐かと思っちゃう)英語はもちろんできず、にやにやして、やたらジロジロ見る。
ちょっとおしゃれしてホテルのロビーやレストランに行くと、やたらに視線を感じる。振り向くとにや〜っと微笑む男性と絶対に目が会う。ハローなんて言われた際には、英語も通じないのでその人が良い人なのか悪い人なのかもわからず、顔がこわばったと言っていました。
だから、起きている間中は恐怖感の塊だったそうです。とにかく不安でいっぱい。実際悪い人たちでないとしても、その区別をする材料がないのです。言葉が通じないというのは赤ちゃん状態ですから。
コンクールの主催者の女性達は例外なく全員親切でヘルプフルだったそうです。しかしながら、オルガナイスが最悪で、最後まで何が何時に行われるかわからない、それに加えて全部ロシア語、予定変更はいつも起きる。。。。
娘は英語のできる参加者の親御さんに助けられ、本当に良かったです。このコンクールが特にそう、というわけでなく、カザフスタンとは普通にそういう感じなんだそうです(主催の人が言ってた。お国柄?)
演奏はというと、私はYouTubeライヴを死ぬ思いでドキドキしながら見ていたのですが、そんなに緊張しなかったそうです。まず、本番前に汚いお手洗いに行った時(ホールはすごく綺麗なのに)「賞とかどうでもいい、とにかく帰りたい」と思って冷静になれたそうです。「そこか」、と思いましたが。
「だって考えても見てよ。舞台の上はジロジロ見るおっさんもいないし、ロシア語は必要ないし、さらわれる心配もないし、どこよりも楽しくて、安心して自分のできることができる場所だったんだよ。緊張なんかしなかったよ!」
だそうです。確かに、プロコフィエフのコンチェルトをオケを伴奏で演奏したのは初めてですが、落ち着いて弾けていたとは思いました。
簡単にまとめると、未知の国のコンクールなどに参加する場合、フライト・ホテルはきちんとしたものをゲットするのはミニマム大切だ、ということです。あなたがお金持ちなら、ホテルで安心できるドライバーを数日キープすれば良いかもしれません。ただでさえ演奏に集中したいのに、うちの娘のような状態だと、それどころではなくなります。
コンクールの話は次回に続きます。