ピアノのレッスン、やる気のない子を引き止めてまで教える事って本当に必要?

ピアノとヴァイオリン

日本に居た時は、とにかく来るものは拒まず状態で生徒を教えて事と、今考えるとひっくり帰りそうなモンスターを教えた経験があります。

ある小学生低学年のわんぱくな男の子。
口を開けば「だってえ〜〜〜」とか「やりたくない〜」とかいう。「ピアノなんかやりたくないんだよね、ママがうるさいからやってるだけで、あ〜やめたい!」とかいう。

当時の私は、かなりコワイ音大生だったので、ムッとして、
「あなたみたいなやる気のない子のために、ご両親は私にお金を払っているのよ。世の中にはお金がなくて、ピアノができない子はたくさんいるの。(自分も重ねていた)そういう子たちに申し訳ないから、あなたはやめなさい。もう、来ないでよろしい!」

、と平気で言っていました。
当時健在だった私の母は、「そんな怖くしてたらだめよ。子供なんて色々いるんだから、忍耐を持って教えてあげないと、」なんて言っていたのを思い出します。母は私と正反対の心から優しい女性でした。

さて、結局、その子はやめるところか、私の期待に反して、驚くような良い子になってしまって、かなり長い間ピアノを続けたのですが、どの子に対しても、別にやめたいならどうぞ、と思っていました。習いたいなら教えるけれど、別にこちらから頼んで来ていただく必要はない!と思っていました。別にお金に困ってるわけじゃないし。

でも上記の件、今考えても母が言ったように「忍耐を持って」ってどういうコト?って思います。

本人ははっきり、「やだ〜」とか「やめたい〜」と自分の意見を述べているのです。

どんな教師だって、怒り爆発する前に、「じゃあ〜こうやってみようか〜?」とか「じゃあこの曲に変えてみる?」などのオファーをしているはずです。仏の顔も3度まで。毎回嫌だの嫌いだのすったもんだいいわれたらやっぱり嫌になるし、そう粘るからには、子供は本当にやめたいのでしょう。

先に述べた子供は、やめたい気持ちより、我が儘を言って、当時は若くてお姉ちゃんみたいな先生とわちゃわちゃしたい気分だったのかもしれません。

わたしが「じゃあ来なくていい!」と一括して、「え、本当にやめさせられちゃう?」と戸惑ってイイコに返信しちゃったのでしょう。もともとピアノがきらいでもない、普通の子だったのだと思います。

で、長くなりましたが何が言いたいかというと、何度もピアノの先生が努力して、それでも子供の態度がわるかったり、本当にピアノをやめたいんだなと感じた場合、やめてもらうのがやっぱり一番だと思うのです。

もちろん教師として、ある程度の努力は必要です。でも、本当にピアノをやりたくない子供を音楽が大好きな子供にするのは、無理です。私だって、サッカーとか強要されたら絶対にいやですもん。

そして、それがうまくいかなかったと言って、先生は自信を失ったり、悲しくなったりする必要もないと思います。そんなことをしていたら身がもたないからです。

来るものは拒まず、去る者は追わず、わたしはこのスタンスをずっとこのまま保って教えていくと思います。

(お教室勤務で、生徒を絶対にやめさせてはいけない場合はこのお話は該当しません。あくまで、個人のお教室でのお話ですね)