ピアノのレッスン、5指固定の教本で習ってしまった子供の悲劇 でも大丈夫!治せます

ピアノとヴァイオリン

写真はお題と関係のない、ウィーンのカフェ・ラントマンの美味しいアプフェル・シュトゥルーデル(リンゴパイ)のバニラソース&クリーム添え。今日はすっかり寒く、テラスは無理だろうと思っていたところ、なんとテラスの天井には暖房が取り付けられていて、ポカポカ暖かく、美味しくいただくことができました。幸せ!

さて、本題です。
みなさんはピアノの5指固定の教え方や教本をご存知ですか?私は日本の事情を全く知らないので、このような教え方や日本の教材があるかどうかは知らないのですが、こちらでは残念ながらよく見かけます。

ウィーンの楽譜屋さんでパラパラと新しい教材を手に取ってみて、「ああ、良いかも〜」と思ってみると、中盤からもろに5指固定をベースに書かれているのを見てがっかり。「使えないじゃん」と思って棚に戻すのですが、この5指固定法とはなんでしょう?

このメソッド(というのか?)は簡単で、右手の1の指を真ん中の「ド」の場所に位置させ、そこから2の指は「レ」3の指は「ミ」のように固定させ、子供に場所と音名を教え込んでしまえ、というやり方です。例えばこれだと、日本の曲、「ちょうちょう」なんて、指だけをパタパタさせて、「5334221234555」と弾かせちゃうのです。

このような教本を自己流で買ってしまって、弾いてしまう。または教える経験や能力のない教師(?)がこれで教えてしまうと、何が起こるでしょう?

そうです。手首はガチガチで、指だけでただ、鍵盤を下におろして音を出す、という行為だけが行われるのです。音の美しさとか、そんなことはもう、そこには存在しません。

私と5指固定との出会いは、数年前、私のところに来た生徒が、今まで使っていた教材を使って、私の前で弾いた時です。本当に、驚くほどに身体全体はカチカチ、手首は硬く固定され、目は楽譜に固定され、弾きにくそうに肩を上げたりしながら演奏する姿を見て、かなりショックを受けました。もうロボット状態。

教本にも指導者にも呆れたのですが、こんな方法も教本も日本で見たことはなかったので、衝撃でした。

結局、教本を変え、教本から離れてリラックスさせる、ロシアン・シューレで全てやり直しです。しかし、やり直しといっても、ノンレガートからレガートを学ぶ際、綺麗な曲を使うので、退屈したり悲しむ事なしに改善することができたので、良かったです。

ピアノ教育は、初めの数ヶ月が実は命です。
変なやり方で習ってしまうと、プロになりたいのならもちろんのこと、趣味であってものびのびと美しく演奏できるようにはなりません。変な教材が少しでもなくなるといいのに、といつも思います。

これ、実はキーボードでクラシック以外の分野を習いたいのであれば、まあ覚えやすいし、どうせ電子なら、人間が弾いても猫が歩いても同じ音が出るのでかまわない!、と思う方がいるかもしれません。ところがどっこい、腱鞘炎の原因にもなります。だからやっぱりアウトだと私は警告したいです。