本題に入る前に、いわゆる大先生、巨匠、みたいな地位にいらっしゃる人達のレッスンを見てきて感じたことがあります。これは私だけが感じたことかもしれないので、あまり深く考えずに読み飛ばしていただければと思います。
それは、特にロシア系・ユダヤ系(どうしても世界的レベルだとこの人達になっちゃう)の人達に共通している(気がする)のですが、ある人(学生)をある程度認めるまでは、その人の名前を声に出して言わない、ということです。
何度も書きますが、これは私の偏見かもしれないので、ご注意を。
レッスン中も「あなた」という言葉は使うけれど、「名前」を読んでくれない、それ以前にマスタークラスなんかでは「名前なんか覚えていない」ということが多い、ということです。たとえ覚えていても、声に出して呼んでくれない、といったほうが良いかもしれません。ネガティヴな意味であまりにも目立ち(下手だとか変な振る舞いをするとか)いう場合は覚えられますが、これはない方がいいです。
私はムスメが小さい時からレッスンに引っ付いていって、レッスン中に彼女の面倒くさい名前をきちんと教授が覚えて発音した時は「やった、これではじまる!」と思ったものでした。
ムスメの名前は「リザ・マリア」で別に変わった名前でもなんでもないのですが、ダブルネームなのでなんかめんどくさいのです。私は「マリア」と呼ぶのですが、人によっては「リザ・マリー」になっちゃったり(エルビス・プレスリーの娘の名前で有名)ご高齢の教授はまあ、何回「アンネ・ルイーゼ」とか全然関係ない名前で覚えちゃったりしてくれたものです。
しかし、子弟関係が断固としたものになると、教授がわで自分の呼び方をしっかり決めて、外国人でもしっかり苗字も覚えてくれます。ここがまあ、スタートでしょう。
変わったところでは某教授はあだ名をつけて、ムスメのことを今でもあだ名で呼び続けています。もっと変わったところでは、女の子に対しては全員「マーシャ」と自分の孫の名前で呼び続けるロシア人の教授もいました。
さて、何がいいたいかといいますと、生徒に限らず出来る限り名前で呼びましょう、ということです。
巨匠クラスの教授様はご自分の好きにすれば良いと思いますが、「名前」を呼ぶということは呼ばれる方もアドレナリンが上がって、気分も上がる、ということです。レッスンがスムーズに行く場合が多いです。
ピアノやヴァイオリンのレッスンとは関係ありませんが、いつも来るAmazonの配達人が私の苗字をきちんと呼んで「ありがとうございます」と言った時は、やっぱり嬉しい気持ちになるものです。
私は大学生くらいになって、ピアノの先生から「かなちゃんはね、」と言われた時はなんか、懐かしいような不思議な温かい気分になったことを思い出します。
たかが名前、されど名前、声に出して言ってみると良いと思います。