ピアノ教師が語る「教えにくい子」の特徴とその対処法【無理しない選択を】

音楽留学と演奏生活

ピアノ教師が語る「教えにくい子」の特徴とその対処法【無理しない選択を】

これは本当によくご相談いただくテーマです。「教えにくい子って、どんな子ですか?」「続けてもらうにはどうしたらいいでしょうか?」と。

でも、結論から言ってしまえば、子ども自身がピアノや音楽に全く興味がない場合、どうしようもありません。
家庭にクラシック音楽の環境がまったくない場合も、正直厳しいです。

もちろん、幼稚園の先生のように辛抱強く、何かを弾いて興味を引き出すことでうまくいくケースもあります。
でもそれは例外であり、現実はそんなに簡単ではありません。

教えにくい子を前に、教師が感じること

心の中ではこう思うのです。「なぜ私がここまで一生懸命にやって、この子にピアノを“やっていただく”理由があるのだろうか…?」

正直なところ、今の私だったら「嫌だと思ったら教えない、即断る」こともあります。
どうしても断れない場合(恩義のある方のご紹介など)を除いては、「きっと○○ちゃんには水泳とかスポーツの方が向いているかもしれませんね」と、それとなく距離を取ります。

家庭環境は侮れない

私の生徒はほとんどが日本人以外で、多様な家庭背景を持っています。ここで感じるのは、家庭環境は決して侮れないということ。

クラシックが日常にある家庭の例

ある女の子は、お父さんがクラシック愛好家で、ピアノ曲を日常的にBGMとして聴く環境で育ちました。
彼女は自分から「この曲を弾きたい!」と言ってきて、レッスンもスムーズ。
レッスン時間を延長しても足りないくらい、どんどん弾きたいものが出てきます。

ちなみに、そのご家庭は特別裕福ではありません。でも、「価値があるからレッスン料を払っている」という考え方を持っているのです。

クラシックとは無縁の家庭の例

一方で、クラシック音楽に全く触れていないご家庭もあります。オーケストラのコンサートなんて行ったこともないし、行きたいとも思わない。

でも、私の経験上、このような環境でも4割くらいの子はピアノにハマります。
好きな曲ができて、自発的に練習するようになる子もいます。

それ以外は数年でやめてしまいますが、それも当然。全ての子がクラシックピアノを好きになる必要はありません。

大人になって、ポピュラー音楽が少し弾ければ十分。私はそれでいいと思っています。

教えたくないと感じる時の判断基準

興味のない子に、お金のために無理して教えるのはやめましょう。
それはお互いにとってストレスで、私自身が絶対にやりたくないことです。

それでも、どうしてもピアノに興味を持ってもらいたい場合は、その子の好きな曲を探すこと。
「弾きたい!」と思わせることが第一です。

たとえば:

  • 初心者の子ならギロックの「フランス人形」
  • 大人ならギロックの「サラバンド」

教え方の詳細にはここでは触れませんが、こういった曲ならほとんどの人が興味を持ってくれます。

集中力がない・態度が悪い子にはどうする?

「集中力がまったくない」「態度がひどく悪い」といったケースもありますが、注意しても改善が見られない場合は、教えないのが正解です。

最初の直感は意外と当たります。
「この子は無理かも」と思ったら、無理しない。生徒側も同じで、「この先生は合わないかも」と思ったら、遠慮せずに断るべきです。

その場は少し気まずくても、数ヶ月〜数年にわたってストレスを抱えるよりずっと良いのです。

まとめ

すべての子がピアノを好きになる必要はありません。
向いていない子には、他の道を勧めるのも大切な判断です。

そして、教える側も教えられる側も、「無理しない」「続けなくてもいい」選択肢を持ってよいのです。

ご家庭の価値観、子どもの興味、先生との相性——それらが自然に合ってこそ、良いレッスン環境が作られます。
どうか気を楽にして、長く続けられる関係を見つけてください。

最後に付け加えますが、全ての環境が整っていて、子供は絶対にプロの道へ!と思っているのであれば、それは全然別のお話です。
それについては後ほど。いずれにせよ、周りが持っていくので危険いっぱいですが…(笑)