ピアノでもそれ以外でも自分の子供を褒める、欧米と日本の違いについて感じること

バイリンガル 外国での子育て

この「自分の子供を褒める」ことについて、日本と外国ではかなり違う気がします。一般的に欧米で(ざっくり表現して申し訳ありませんが)親は自分の子供を、自然に、そしてとても褒めます。「褒める」という言葉を飛び越え「自慢」になることもありますが、日本だとこういう方は目立ち、「○○ちゃんのお母さんってねえ、」と有名になっちゃうのではないでしょうか?

日本で育った私たちは、多くの場合「○○ちゃんはすごいわね!」と自分の子供を褒められると、「いえいえ、そんな、全然!」とか、「とんでもないです、うちのはバカでバカで」と逆にどん底に自分(の子供)を落としたりします。また、それをしないと、「あのお母さん、調子に乗ってるわ」なんて言われる恐怖感があるのかも。

私の子育ては、ここ、オーストリアが初体験でした。

はじめのうちは戸惑いましたが、自分だけ必要以上に謙遜しているのもバカらしくなり、普通に接するようになりました。ここは日本ではないからフツーにしていれば良いのだということに気がつくまで、そんなに時間はかかりませんでした。

それに、日本の習慣で、良かれと思って謙遜しすぎると、それが外国語を通すとダイレクトな表現になり、「このママは自分の息子を馬鹿って言うなんて、なんてひどい日本人なんだろう。虐待でもしてるんじゃないかしら?」と勘違いされることもあるので要注意です。

某巨匠のマスタークラスの終了コンサートで、とある「絶賛売出し中・天才少女」のお母さんに私が「ゾフィーちゃん(仮名)はとても才能のあるお嬢ちゃんね。素晴らしかったわ、おめでとう!」と言うと、そのお母さんは即座に「Yes!You are right!」とフツーに即答し、まるで私が娘ちゃんを褒めて、褒められた感じがして笑いが出ちゃったこともありました。その後は、彼女の天才ぶりをずっと聞く羽目になって、ああ、こういう人には話しかけない方がいいや、と思ったこともありました(笑)

勘違い的にちょっと変わったあるお母さんは、

「うちの子の音楽的才能は特別です。悲しい曲を聴くと号泣するんです。自然に涙が溢れるんですよ!すごくないですか?ピアノを始めるように神が導いていると思い、ここに来ました」と、ピアノのレッスン顔合わせで私を唸らせたすごいロシア人のお母さんもいたし、

「先生、うちの子はテレビで流れる曲をピアノで弾けるんです。こんな子いませんよね!」
と大興奮の親御さんは普通にいます。いかに自分の子供が秀でているか、普通に息をするように話します。

日本人の私からすると「あ〜あ、こんなに自分の子供を絶賛しちゃって〜」と思わないでもなかったのですが、そのうち彼らが虚栄でも嫌味ではなく、素直に気持ちを述べているので「ハイハイ、そうですか、良かったね」と思えるようになってきました。(単に慣れたのかも)

大事なのはここからで、子どもの立場からしたらどうなんだろう、ということです。
もう帰国してしまいましたが、ある子のご両親は日本人で現地校に通っていました。

学校でお友達の親が自分の子供を絶賛しているのを日頃見ていて、素直に「いいなあ、羨ましいなあ」と思ったそうです。
最も嫌だったのは、お友達同志でケンカがあった時だそうです。

日本人のご両親がまず咎めるのは我が子。他人の子を理由も聞かずに責めるのは現地の親御さん。現地の親は無条件に親が我が子を守っているに見えたそうです。こちらで育った彼女には、日本の道徳美德なんて知らないので傷ついたそうです。今は大人になって理解していると思いますが。。。。子供かわからすると深刻な問題です。

長年「こちらの親は素直に子供を褒める」のをたくさん見てきて、実際、うちの娘もよく私に「うちの親は文句ばっかり言って、絶対に褒めないよね!」と苦情を言うことが多かったので、あるコンサートの時「なんかすっごく良かったわ〜」と褒めてみたのですが、なぜか「やる気がなくなるから、これから絶対に褒めないでくれる?」と言われたことがあります。

もう、自分の子供の事になると何が何だかわかりません。。。。