「親子でピアノのレッスンを一緒に楽しめたら素敵だなぁ」という思いと親の思い。わかりますよね。楽しそうです。でも実際のところはどうなるでしょう。
私の経験を書いてみたいと思います。
ただし私の生徒さんの99%は外国人です。住んでいるところもオーストリアのウィーンです。だから日本の事情とは全然違うかもしれないので、参考になるかどうかは全く判りません。あくまで私の長年の経験で書きます。
親子レッスン。当時、私はこれを最高のアイディアだと思いました。
親御さんがピアノに興味を持ってくれれば、おうちでのサポートも積極的になるだろうし、何よりも、大人にピアノを教えてみると、喜んでくれる人が本当に多いのです。
ですから私はその昔、初めて家に来るちいさい子供の親御さんに、「あなたも一緒に習ってみたら?楽しいですよ」と声をかけたことがありました。
私の予想通り、ピアノを習い始めると親御さんは非常に喜んでくれます。
しかし親がハマればハマるほど、子供の反応が微妙になってくるのです。
以下、子供の本音です。
「僕がピアノを始めたのに、ママがこんなにはまっちゃって、僕が主役のはずのピアノのレッスンがなんか違う感じになっちゃってる。もう、僕が楽しむ余裕がなくなっちゃった!」
で、数日経つと「ママ、僕の前でピアノ楽しまないで、僕にピアノを教えようとしないで、僕のレッスンについてこないで、僕の見えないところでピアノ楽しんでよ」とはっきりいうようになるのです。
「本当にごめんね」です。「そうだ!主役はあなただったね」となって、親御さんは他の曜日と時間にレッスンを受け、子供用にはベビーシッターさんが子供を連れてレッスンに来るか、またはわざわざエキストラ違う日に連れてくる、となるのです。
ある幼稚園の年長さんの男子はかなりしっかりしていて、体験レッスン後、「僕は30分のレッスン時間より、40分がいいな。ママと一緒にやりたくない。ママはピアノを習いたかったら、他の日に来て」と言って、私とお母さんを驚かせました。ちびっ子をあなどってははいけませんね。
しかし、うまくいく場合もあります。どんな場合だと思いますか?
それは親も子も、両方大人の場合です。いつかオーストリア人の母娘を教えたことがありましたが、連弾などしてとても楽しんでくれました。これならOKです。
例えば、私と娘が、「趣味」で何かを一緒に習う場合は、2人で素直に楽しめると思います。双方大人でありお遊びである場合、それはとてもよく機能し、コミニケーションの助けになっていること間違いないと思います。しかし、子供の場合はうちの場合、よくない結果でした。