ピアノのレッスン どんなに集中力のないワンパクな子供でも、しつこく、追いかけ、褒めちぎると、大概はうまくいく、というお話

ピアノとヴァイオリン

今日のお話は、お題通りです。昨日のレッスンからのおはなしです。

年末に、レッスン後にグランドピアノの下に潜り込み、私のサイレントシステムのケーブルを見事にいじくりまわし、機能しなくしてしまった、おフランスのワンパク坊主、5歳児くん、今日も元気いっぱいでやってきました。

まず一声「ピアノの下に絶対潜っちゃダメ〜!」理由をきちんと説明し、「踏み台も私が取り付けるから、手伝ってくれなくて全然大丈夫だよ!」と強調。

彼はいわゆる、元から恵まれた肉付きの良い、まあるい、柔らかい手をしています。打鍵も、ちょっと教えただけで、脱力したように、ぽん、ぽん、と弾けちゃった子です。

その代わり、何をやらせても直ぐに飽きちゃう。興味のあるものにはすごく食いつくけれど、集中力はいきなり違う方向に飛んでいってしまう。子供はみんなそんなものですが、彼はその傾向がかなり強い方。

ただ、「ハイハイ」という事を聞く子供よりずっと覚えも早いし、実際上手なのですが、決められたレールの上での計画的なレッスンができないタイプです。

多分、親と教師が必死になって、「ピアノでプロに」って思って指導したら、かなり成功しそうな要素をたくさん持っている子です。絶対にやらないと思うし、勧めないけど。

さて、私は彼が可愛くて大好きなので、かなり一生懸命に追いかけ(もちろん、走り回るという意味ではない)彼の好きそうなモノを提供し、できる限り集中させて、絶対に何か成果を出させて帰させます。

彼の気がそれたら、おどかす様なインパクトのある感じで「やだ、ちょっとこれ見てちょうだい!新しいことが出てきたわよ!!何これ、なに!?」みたいに大袈裟に言うと、「え?なになに?」となる。そこで、教えるべきテーマにひき込んで、タイミングを外すことなく教える、繰り返させる、質問する、答えさせる、「自分でやらせる」ということに徹底します。

教師が説明ばっかりしたり、自分が弾いちゃうのはNGで、あくまで主体は子供です。相手に弾かせる、弾かせる、歌わせる、が大切です。

で、出来たら「素晴らしいねえ、この数分の集中力は立派だったよ。年を超えて大人になったんじゃない?」と褒める。

これは生徒に対してだけではないのですが、褒めるときはもう、徹底的に褒める。中途半端は絶対にいけません。褒めちぎるのが鉄則です。

そんなこんなで、昨日も、なんとか小さな曲がきちんとできました。最後は私と一緒に連弾ぽいものもできて本人も満足。

同伴するイケメンパパ(娘曰く)は毎回食い入るようにレッスンを見ていてくれるのですが、それもありがたいことのひとつです。携帯を見る事なしに、ずっとレッスンを見ていてくれます。(時には参加する)子供が振り返ってパパを見ると、いつも目が合う、暖かい感じが素敵です。

この様子を見て「いやだ〜、大変だわー、疲れそう」と思われるかもしれません。でも、こうやって毎回のレッスンに成果が現れると、私はなんかゲームをクリアしたような満足感で心がいっぱいになるのです。だから教えることが好きなのかもしれません。

こんな感じで今日もまた違う生徒が来ます。
今日のテーマは楽譜を見ない、ウォーミングアップのスケールを教える予定です。さて、どこまで相手を引き込むことができるか、楽しみです。うまくいったらご紹介するかもしれません。