大人の生徒さんと楽しくレッスンをする日々が続いています。
レッスンが終わり、彼女が「あのね、ちょっとしたアイディアなんだけれど、簡単なウィーンのワルツみたいなものを弾いてみたいと思うの。もちろん、私に難しかったら全然いいんだけれど、どう思う?」
というので、考えてみました。
シュトラウスのあのバンバンすっ飛ぶ、すっごいやつは絶対に不可能だな〜、と思いつつ、ピン!と来て、
「え、それだったらシュランメル・ムジークから探さない?」と提案しました。
ウィーンのシュランメル音楽とは、オーストリアの伝統的な音楽の一つです。民俗音楽のスタイルで人気があり、ウィーンの文化や歴史を象徴する音楽として知られてているのです。
さて、このシュランメル、身近なところではウィーンのホイリゲ(Heurige、今年のワインを飲める居酒屋。ホイリゲは地元の農家が自家製のワインを提供して、料理や音楽とともに楽しむことが出来るのです。みなさまも機会があればぜひ、どうぞ!)に行くと演奏を聴くことができます。
この人達は飲んでいるとそばに寄ってきて勝手に演奏して、最後に「はい、チップちょうだい、」と観光客は催促されるやつです。私たちはそばに寄ってくると、丁重に「結構です」と遠慮させていただいていますが。
さて、話を戻します。
早速ウィーンの楽譜屋さん、ミュラーに行って聞いてみると数冊出してくれました。
いやあ、あるんだこんなの!正直言って、シュランメルなんて別に好きでも何でもないし、弾きたいなとも思わないのですが、面白いと思いました。簡単そうなものを購入して帰りました。
彼女に見せて、ばーっと弾いて見せたらもう大感激。
喜んで一緒に歌っていました。私のスタジオがいつの間にかウィーンのカフェハウスになった感じです。近所の人、カフェを始めたのかしら?と思って寄って来そう、と本当に思うくらい「ウィーン訛りのカフェハウス」の雰囲気ブンブンでした。
そこから数曲選び、弾いてみることとなりました。
日本ではアニメソングとかそういうものをお教室で教える、ということを聞いたことがあります。こちらではアニメソングはないのですが(流行ってないし知られていない)クラシック以外で愛される曲、としてたまには弾いてみても悪くないかもしれません。しかしまあ、こんなにシュランメルが喜ばれるなんて予想外でした。素敵なアイディアに脱帽です。