上記の信じられない質問を、かなり真面目にされたので、驚いて、今日はこれについて書くことにします。
答えは、きちんと勉強した方なら誰でもわかる、「そんなことありません」もしくは「程度問題!」です。
私が日本にいた子供の頃、「音大入試でバッハでペダルを踏んだら減点なのよ」なんて事がまことしやかに語られたのを耳に挟んだことがありますが、それは昭和50年代くらいのお話で、もう過去の伝説だと思います。
私は30年以上欧州に住んでいますが、「バッハでペダルを『絶対』に踏んではいけない」なんて教授に出会った事はありません。ヴァイオリンにしても同じです。「バロックでヴィブラートをかけたら即減点、試験に落ちる」なんて、欧州でそんな話、本当に聞いたことがありません。
もちろん『程度問題』ですが!
バッハをまるでロマン派の作品を弾くように、すっごいネリネリにルバートをかけ、ガンガンペダルを踏んで弾いて良いわけがありません。そんなの当たり前です。
ヴァイオリンにおけるバロック作品の演奏も同じ。ブラームスのコンチェルトを演奏する時のように、肘からの情熱的なヴィブラートをかけて良いわけないです。
もちろん、この曲は故意的に全くノンペダルで弾く、とかこの部所は絶対にノンペダルで弾く、なんてことはあります。でもバッハだからいっさいペダルを使用してはいけない、ヴィブラートもいっさいかけてはいけない、なんてことはないのです。
、と当たり前の事のように書いてしまいましたが、もとい。
もちろん、音大を出たような、専門にクラシックを学んだ人には『常識』かも知れませんが、趣味やアマチュアで最近ピアノやヴァイオリンを始めた人達は多分知らないことだと思います。専門に学ばなかった人の、こういった話を間に受けて、信じてしまう人もいると思います。だからこういう質問が私のところに来たのでしょう。
良いきっかけです。これを機会に声を大にして言いたいです。
バロックにおけるピアノでのペダル、もしくはヴァイオリン(弦)でのヴィブラートは「あり」です。しかし、程度問題ですのできちんとした先生に指導を受けてください。間違った解釈は、素晴らしい音楽の可能性を潰してしまいます。ペダルもヴィプラートも「ひとつまみ」の感覚で楽しんで演奏してください。