「私になんて良いピアノは必要ないの、下手だから、安いモノで充分!」という考えについて

ピアノとヴァイオリン

私のところに訪れた、大人でクラシックピアノを始めたいという女性が最初に言った言葉です。正確にいうと、彼女は「中古の安い電子で充分」と言いました。
これを聞いた時「おお、こっち(欧州)でもそう考える人がいるんだ!」と本当に驚きました。

日本のSNSでは「上手になってからもっと良い電子ピアノを買おう」とか「私には手頃な価格の電子キーボードで十分」という投稿を見たことがありました。

日本では謙虚という文化があり、他人の視点で話すことが一般的なので、そのような投稿も理解できますが、外国人(ここでは私が外国人ですが)の口からそんな言葉が出るとは思わなかったので、正直驚きました。

お会いして、それはクラシック音楽を学ぶ上では必ずしも正しい考え方ではないとお伝えしました。
また、余裕があればアコースティックピアノを購入することも提案しました。なぜなら、あなたが「クラシックピアノ」を学びたいのであれば、それが上達の手助けになるから、と。

幸い、経済的にも物理的にも(こちらは基本的に日本よりも部屋が広いです)余裕があるようで、「へー、そうなんだ、そんな事、全く知らなかったわ!」と言ってサイレント機能付きのアップライトピアノをすぐに購入しました。そういうことです。

ピアノ、特にクラシック音楽の世界を全く知らない方は、私がスポーツの世界について何も知らないのと同じく、無知な状態で当然です。

それは知識のある人がその方に教えてあげることが親切であり、知識を持つことは幸せなことではありませんか。

大人になって初めて鍵盤に興味を持ち、弾きたい曲はポピュラー音楽でクラシック曲には興味がありません、という場合、電子ピアノで十分です。価格が安くても問題ありません。鍵盤が適切に備わっており、音色に本人が喜びを感じるならば、それで十分です。大切なのは、自分自身が満足することです。

そして、その目標は、厳密なクラシックピアノの学問とは異なる位置にあります。クラシックピアノは、最低限の「こうであるべき」という基礎の文法があり、その基盤の上で自己の芸術性を創造していくものだからです。

興味がないのに無理にアコースティックピアノを購入しても、高価でスペースも必要で、目標には合わないでしょう。

話がそれましたが、クラシックのピアノを趣味だろうがなんだろうがピアノをはじめたい、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンとかドュビッシーが好き、弾いてみたい!そして正しく習ってみたい、弾きたいな!と思うのであれば他人を気にしたり、無駄な謙遜をする必要は全くありません。

経済的・物理的な余裕があるのであれば、ぜひアコースティックピアノを購入してください。そうでない場合は、できるだけ近い形の選択肢を探しましょう。(何度も書いてしまいますが、YAMAHAのハイブリッドピアノは素晴らしいです。私も欲しい!)