以前にも何回か書いていると思いますが、ステージマナーのお話です。
「本気組」の子供たちが集まる門下では、ステージマナーについても初めから、かなりしっかりと指導を受けます。ムスメが指示したウクライナ出身のヴァイオリン教授の元では、子供たちはしっかりとステージマナーが身についていました。
具体的にどうかというと、姿勢良く颯爽と舞台に登場し、微笑んで礼、そして演奏。演奏中はたとえ間違えたとしても、それは顔に出さず、堂々と表情豊かに演奏し、演奏後は、これまたにっこりと微笑んでゆっくりと一礼、ソナタであればピアニストの先生と並んで礼、握手もする。そして舞台袖に一旦戻り、拍手が続くのを当然みこして、ぐずぐずしないタイミングで、これまた颯爽と舞台中央に戻り、カーテンコールの礼をする。てな具合です。
恥ずかしそうに照れてみたり、間違えたらぺろっと舌を出す、なんて素人じみたことは絶対にしません。すごいものです。
しかしながら、普通の子供も集まる様なオーストリアの国内コンクールを見にいくと、それはまあ、本当に色々な子供たちがいます。
私がなによりもびっくりしたのは、ヴァイオリンのネックにマスコットがぶるさがっていたケースです。
可愛い女の子が演奏したのですが、そのたびに、ゆーらゆーらとマスコットが揺れる。きっとお守りだったのでしょうが、教師、注意しなかったのか!!!目が点になりっぱなしでした。
これはステージマナーではないですが、お父さんやお母さん、あるいはおじいちゃんが、ここぞとばかりにピアノ伴奏をかってでて、出てきたのはいいけれど、子供よりも100倍緊張してしまって、完璧に足を引っ張ってしまう気の毒なケース。かなり残念ですが、なぜか微笑ましく、頬はかなりゆるみます。
一体どういう教え方をされたんだろう、と思う演奏は、ヴァイオリンを演奏しながら、舐める様に会場の観客をガン見して、まるで「どう?私は上手いでしょう?見なさいよ!」というやつ。これは大人でもたまにいますが、目をそらしたくなります。個人的には嫌いな演奏かもしれません。ちょっと変だし。
教授が良く言いますが、舞台に出てきて、楽器を構えたその時にもう、どのくらいのレベルかわかる、というのですが、私の勘もかなり当たります。やはり、たかがステージマナー、されどステージマナー。
最後にロングドレスについて触れます。
ロングドレスの裾を身長に合わせて切らずに、前も後ろもダラダラに長い状態で出てくる人がいますが、これはこちらではかなりアウトです。吊るしを買ってきてそのまま着ているのはだらしなく見えるし、やはりきちんとした方が見栄えが良いです。立って演奏する楽器なら尚更です。
そしてドレスの裾を、物語に出てくるお姫様のように持つのもNGだそうです。これを私はこちらに来てから聞きました。日本ではお姫様ドレスは普通だったので驚きました。ドレスはやたらに触らない!だそうです。
しかしながら、演奏後も気を抜いてはいけません。娘はその昔、カーテンコールで舞台に戻る時、舞台に小さな階段で上がる所だったのですが、ちょっと足をドレスに引っ掛け、コケそうになりました。その時に彼女の口からかなり大きな「おおおおおお〜〜〜〜〜」という声が出て、会場が笑いに包まれたことは、今でも忘れられません。楽器を持っていたので私はその方が気になったのですが、みなさんも気をつけてください。怪我でもしたらたいへんです。