ウィーンは比較的に安全な街だとしばし書いてきました。
でも少し後悔をしています。なぜなら、「私にとっては安全な街」だからです。
私が「よその欧州の大都会(ロンドン・パリ・マドリード・ローマ・ミラノetc)に比べたら安全」と発言することによって、誤解が生まれたらまずいな、と思ったので書いています。
私は35年以上ここに住んでいますが、命の危険にさらされたことはありません。それは私はすでにここに土地勘があり、どの地区が危なげな場所で、どこならまあ、大丈夫、そして、何かがあったときに対処できる最低限の情報を持っていて・・・・はっきり言って私にとってここは、日本みたいなものだからです。
日本からの旅行者の方の多くは、
– カバンのチャックを開けっぱなし
– 人前で財布を開いて現金を見せる
– 貴重品を身体から離す
をしてしまうのですが、これをしなければもちろんそんなに危ないことは起きません。しなければ、です。置き引きなんて当たり前にあります。そこは日本と違う。
今回は、こういう事もあるんだよ、という例をシェアしたいと思います。
私の知人の話です。
かれこれ20年くらい前、彼女は急いでいたのでタクシーに乗ったそうです。
運転手を見ると、まあどこにでもいるような太ったオーストリア人男性。だらしのない、下着のような白いトップを着ていた中年だそうです。
で、車に乗ってしばらく経つと、誰もいない、まるで知らない場所を走っていたそうです。不安になり怯える友人。
すると運転手は急に車を止めて、下車し、車の前のボンネットを開けたそうです。そして、彼女に見せたのが
「拳銃」
彼女は、これは大変だと思い、とっさにフレンドリーに話しかけたそうです。
「わかるわ!あなたがこうして護衛用の武器を持っているのは、すっごく理解できるわ。物騒な世の中ですものね。私があなたでもそうすると思うわ。武器を持つのは当然よね!!!」
するとこの時、この運転手はたぶん考えたのしょう。
「やるか、やらないか」
多分、やらない(何をかをはご想像に任せます)ことにしたのでしょう。車にもどり、彼女を指定の場所まで届けたそうです。
数日後、ニュースで連続強姦強盗殺人でタクシー運転手が捕まったというニュースが報道されたそうですが、その人だったそうです。
もうね、聞いているこっちがドキドキしましたよ。
当時はもちろん携帯もなにもない。今より危険度は大きいですが、こんな平和な街ウィーンでもそのような事が起きていたという事です。
思うに、友人はラッキーだったのでしょう。
レボルバーを見て、ヒステリーを起こして泣き叫んでいたり、何か違う行動をとっていたら、やられていたかもしれません。
人生、何をしたらどうなるか、なんて後から言ってもしようがありませんが、そういう事です。
タクシーは個人タクシーで、彼女はナンバーを書き留める余裕がなかったことを後悔していたそうですが、携帯のない時代、写真を撮ることも出来なかったので無理もないでしょう。
お金がもったえないのと、タクシーやウーバーの運転手に家がわかるのが嫌なので、私はよほどでないと配車サービスを使わなくなりました。でもこれを聞いて、今後も空港タクシー以外は使わないぞ!と思いました。
大事件ではありませんが、最近は配車関係のトラブルを聞くので(運転手がしつこくナンパしてくる等)若いお嬢さんたちはやっぱり気をつけてください。
車関係以外でも、旅行にいらっしゃる方は、モノを身体から絶対に離さない、これだけは守っていただけると、と思います。油断大敵。