あっという間の1周年記念 大人の生徒さんからのありがたいお言葉と薔薇のお花

ピアノとヴァイオリン

大人の生徒さんですが、レッスンに可愛いピンクの薔薇を数本、私にプレゼントしてくださいました。
「あら、なんで?誕生日じゃないけれど。。。」と不思議がる私に、

「今日はあなたにピアノを習い始めて、ちょうど1年目の記念日なの。それで、こんなに楽しく弾けるようにして下さった、それに対するささやかな御礼よ!」

と言うではないですか。

まあ、私なんてすっかりそんなことを忘れていたし、この人は真面目なので、もう長年うちに来ているような錯覚もありました。

「ええ〜、まだ1年だったの?すごい、それなのにこんなに曲が増えて、素晴らしいです!!!」と私。本当にその気持ちに嘘はありません。

彼女は子供の頃に2年くらいピアノを習っていたそうです。
オーストリアの私たちの年代(今、リタイア位の歳)の親の時代は、「ちょっと良い家系のおうちの子女はクラシックの楽器をやらせる」という傾向がありました。

それで親の自分が裁判官なのに、子供たちを音楽家にしちゃった家もあるし、クラシックブームだったのですね、当時は。彼女もそんなふうにピアノをやらされたのですが、多くの例と同じく、ピアノ教師は怖くて厳しいがデフォルトで、2年くらいで止めちゃって、ピアノがトラウマになったひとりです。

そして色々遠回りをして、1年前に私のところにいらしたのです。

「だからね、今日は教えていただいた曲、すべてあなたの前で素晴らしく演奏したいの。でね、今、主人をお客にしてリハーサルもしてきたのよ」

とおっしゃるではないですか。
もうね、素晴らしいです。感動です。

しかしまあ、彼女気合いが入りすぎちゃって、いつもよりミスは多いものの、後半は気持ちよく演奏してくれました。すべて小さなものですが、ギロック、バッハ、ショパン、シューマン、そしてモーツァルトのソナタをきちんと暗譜で、私のお願いした事はすべてクリアしてくれました。

ミスを悔しがる彼女に「普通こんなに進歩しないのだから、もう私は貴女が誇りです」というと嬉しそうにしてくれます。

本当にこの人は、私がつぶやいたちょっとしたことも聞き逃さず、私が「え〜?」ということも多くあります。

例えば、私が「学生時代にハノンというものを(ハノンの存在を彼女は知らなかった)毎日違う3つくらいの調で、リズムも5つくらい選んで弾いたのよ、そうするとすっごく勉強になるの。譜読みも移調も早くなって楽しいのよ」とスモールトークで話したら、その次の週にはハノンを買ってレッスンにやってきます。

実のところ、「大人だし、趣味だし、これ以上課題が増えるのは負担だろうと思い、スケールやってるからハノンとかはいいや」と思っていたのですが、どっこい、「やれることは全てやりたいの。楽しいから!!!」

で、指導してみると、次の週からきちんとやってくる。リズム練習だって、大人がいきなりやるのはかなり難儀なのですが、辛抱強くやってきちゃう。

「無理のない程度にね、手を壊したら元も子もないから」という私に
「大丈夫!楽しいの!!!」なんとまあ、ありがたい言葉が返ってきます。

この日も、たくさんの楽譜を抱えて嬉しそうに帰っていきました。
次はどこをどう練習する、そして次はこの曲あたりをやろう、そんな近い将来の計画を立てるのが楽しい、この気持ちはとてもよくわかります。

頂いた薔薇の花は何日経っても、お水を換えなくても元気でちょっと驚きです。
まるでピアノを想う、彼女の心のようで、私も嬉しくなっている今日この頃です。