ピアノやヴァイオリン 自分にあった先生/教授とは?冷静に考えて判断することも大切だというお話

音楽留学のために

例えば、留学をしたいな、と思ったら、行きたい国や憧れの音楽大学を目指して計画を立てる、という人も多いと思いますが、本当に大切なのは「教授」です。

「教授」を選ぶ時に、雰囲気やネームヴァリューだけでターゲットにしてしまうと、後から後悔することにもなるので、冷静に判断できるようになりましょう、ということを今日はちょっと書いてみます。

昔、数人の教授に頼まれ、受験生の顔合わせやオーディションの通訳をやる機会が多かったのですが、そこで驚いたことがあります。それは、初めての顔合わせ(レッスンというかオーディションというか)で、教授が、たいしてレッスンっぽい指導もせず、当たり障りのないことをおっしゃって「フタを開けてみないと、何人クラスに取れるかどうかわからないので、どうかなあ〜」なんておっしゃっている場合が多いのですが(なぜなら出来るだけ言葉も通じて、自分とフィーリングのあった、できれば上手い子を優先して自分のクラスに入れたいので、用心している)

「この教授がいいです。レッスンに感激しました!!!」
と即答する学生が、かなり多かった、ということです。

私から見ると、「どうしてこれで感激するんだろう・・・・教授と『会話』もしていない、ろくな指導もしてもらってないのに…」と意味不明なのですが、正直な話『この人のクラスに受け入れてもらって、大学に入れればどうでもいいや』というのが本音だと思います。入学前はとにかく焦る気持ちが占めてしまうので、気持ちもわからなくもないですが、もっと根性入れて探せばいいのになあ、と残念に思う気持ちがあったことを思い出します。

一方、子供留学で、ヨーロッパに来ただけでクラクラしてしまっているのか、「うちの子、先生のレッスンを受けるたびに、目に見えて上達するのがわかるんです」とおっしゃる、音楽素人の親御さんもいらっしゃいました。私が見ると「そうかなあ、別に変わってないなあ」と思ったし、教授も「別に指導しても、手応えがない」とおっしゃっていて、実際、私だったらこの子ならよその教授の方が伸びるだろうなあ、と思うこともありました。結局数年して門下替えしていましたが、はじめの数年は、もったえなかったんじゃないか、と他人事ながらも思うことが多少ありました。

何が言いたいか、というと、その場の雰囲気やバックグラウンドで興奮して即決するのは、ちょっと待って!ということです。何でもいいから誰でもいいから、私を受け入れて!と思う気持ちはわかりますが、少し立ち止まって考えても無駄にはなりません。

教授との相性とは本当に生涯の伴侶を見つけるのと同様、難しい物です。
その教授のタイミングと、学生のタイミングもありますし、どんなに素晴らしい教授でも、どんなに努力する素晴らしい学生でも、合わない場合は全く合わないのです。しかしこれも巡り合わせで、うまく行けば一生涯の師と出会うこともあるので、ぜひ、頑張ってみてください。