手や腕を痛めない為の練習のヒント 譜読みの段階から気をつける

ピアノとヴァイオリン

試験やコンクール、プローべシュピールだなんだかんだで真剣に練習して、腱鞘炎やばね指、その他もろもろのトラブルを経験した人はかなりの数だと思います。

たとえ正しい演奏法で練習していたとしても、休みなしでさらい倒したりすれば腕や手に支障が来るのは当たり前です。だって、人間の身体はそもそもヴァイオリンやピアノを弾くために出来ているわけではないのだもの。

私は日頃から、いったいどんな事を気を付けていれば、手のトラブルを避けられるのかしら、といつも考えているのですが、今回、ザルツブルクのアカデミーで某ピアニスト氏のレッスンで目から鱗落ちまくりだったので、ヒントを得たことを書いてみたいと思います。

どのような奏法で、というのはここに書きません。
読む人のピアノレベルや経験数によっては誤解を招くだろうし、間違った事が伝わるのは避けたいので。。。

まずは「ぶったたき奏法」をしないことです。「爆音で快感を得ないこと」です。
「グランドピアノを鳴らす」「フルコンを鳴らす」は日本人の大好きなフレーズですが、この「鳴らす」を勘違いしないことです。小さい東洋人の女性でも「鳴らす」ためにはぶっ叩きではないのです。

それを指導できる人に指導を受ける事も大切ですが、何よりも本人が気をつけることです。

自分の身体は、自分にしかわかりません。身体や手の大きさも、人によって全く違います。
自分の身体、手をきちんと理解して、どういう動きをしたら、どういう音が出るか、どうしたら身体が痛くなるかを日頃から冷静に判断して知っておきます。

手短にできる、日ごろ気をつける事のひとつに「きちんと理解した譜読みをする」があります。
以下は私の方法です。

例えばぐにゃぐにゃ動き回る副声部のバッハに手をつける時、はじめっから全声部を弾くと、身体がガチガチになっているのがわかります。肩はあがり、指だけで弾いていることに気がつくと思います。顔もしかめっ面でシワだらけになる。

まずは楽譜を見て、各声部を歌って弾いてみる、そこから2声だけ弾いてみる、ソプラノとバスだけ弾いてみる、あるいはまずはバスだけ暗譜しちゃう、みたいな譜読みからアプローチしたら、無駄な力を体にかけることを避けられます。譜読みの時のしかめっ面から出る、おでこのシワも節約することができます(あんまり関係ないけど)

バッハだけでなく、ブラームスのインテルメッツオなんかも声部が沢山あって、それぞれ大切なのでいずれにせよ分けて弾くのは趣味だろうが必須です。縦割りで行き当たりばったりにバタバタ弾いたって、美しくもなんともありません。

ガンガン弾きまくるだけでない、落ち着いた、地道な譜読みと練習方法。
無駄にはならないと思うので試してみてください。