「ピアノは人生に不可欠」と言い張るお母さんの成功。ほんとーに脱帽、のお話

ピアノとヴァイオリン

5歳にもならないちびっ子ボクちゃんのお話です。(しつこく書きますが、日本人の人達ではありません。私の話に日本人は出てきません)

年齢の割には初めの数回はやる気ガンガンで、こっちが驚くほどだったのですが、あるお休みをきっかけに突然やる気喪失、「ボク、ピアノやりたくない」となり、お母さんは大パニック。私が「しばらくお休みをしましょう!」という提案を渋々引き受けてくれて、ホッとしていたところ、再度打診がありました。

「息子がね、ピアノをまたやりたいというの。もちろん教えて下さるわよね!」
「ああ〜〜〜、またか」と思う私。実はこれ、3回目。嘘つきオオカミ少年の話ではありませんが、このお母さん、息子を誘導しては「やりたい」という言葉を引き出し、

「ほら!やっぱり彼はピアノが好きなのよ!!!」とかいって連れてくる。で、子供はやる気がない、私が「はい!おしまい!やめましょう〜」となる寸劇をもう、2回繰り返しています。

なぜにこの人は、こんなに「人生にピアノが絶対必要」と思うんだろう、と思うほど、頑固にこの意見を言い続けます。「そんなに好きなら自分でやればいいのに。。。」という私の言葉に、「もちろん!やるわ!!!」といい、本当にレッスンに来ちゃうほどの熱心さです。「この子がお休みの間、私が習いますっ!」と言って、きちんと簡単な数曲を仕上げました。拍手。

子供の勉強においても、とても熱心なお母さんです。しかし、押し付けるような感じの毒親っぽさは全くなくて、それどころか憎めない愛らしさがあります。私、このお母さんのことはすごく好きなんですけれど、子供のご機嫌をとって接し、お金をもらうなんて嫌なのです。私の仕事は「習いたい」と思う人に「教えること」だから。

「あーあ、今日もまた、おんなじことの繰り返しだろうなあ」と思いつつレッスンをはじめます。
明らかにひきつって緊張しているお母さん。

しかしまあ、始めてみるとあら不思議。私の言ったことを素直にやるし、ちゃんと協力的にレッスンをします。歌わせたら歌うし、楽しそうにする。で、私が弾いてあげると初めて来た時のように目を輝かせる。この間、約半年でした。お母さんは涙目。

なんでまあ、そんなにしてまで趣味のピアノ、と思うのですが、彼女があっさり諦めていたら、彼の人生に本当にピアノは無くなったでしょう。まあ、これからもどうなるかわかりませんが。とりあえず、ピアノへの興味は戻ったようです。親の努力、侮れません。