ヨーロッパで「音楽関係の職」が欲しかったら、何が一番重視されるの?

ピアノとヴァイオリン

すごくざっくりすぎて、どう書いたら良いかちょっとわからないのですが、何が書きたいかというと、結局はその人の「良い、優しい性格」というものが、大切だな、と思うのです。

「音楽関係の職」とあやふやに書きましたが、具体的に言えば、音大での教授としての職やコレペティ(管や弦、その他の担当ピアニストの意味)そしてオーケストラのコンマスやトゥッティのプローべ(入団試験)に合格することです。

もちろん、その職に見合った実力があることは大前提とします。(それがなくても入れる人もはっきり言って居ます。ウィーンは特にその傾向が強いですが、今回はその事については今は関係ないので触れません)

それらの職をゲットできた人達をざ〜〜〜っと長年見ていると、やっぱり「人から愛されるタイプの人」が圧倒的に多い気がします。これって、やっぱり大切です。

例えばコレペティだとすると、「ワタクシは上手でございます。よってギャラは数分延長する度にガッツリいただきます」のタイプより、「え〜、私で良いんですか?一緒に弾けて嬉しいです〜」タイプの方が、確実に教授に愛されます。勘違いして教授を差し置き、学生を勝手に指導するような人は、完璧アウトです。これ、本人は全く気が付かずに良かれと思ってやっているので、注意してくれる人がいないと、本当に気の毒です。

オーケストラだって、一般企業の会社と一緒です。毎日一緒に働くのに、かなり変な性格の人よりも、一緒に働いて楽しくて気持ちの良い人の方が良いに決まっています。それにはもちろん「語学」も大切で、やっぱり言葉の通じる同僚が欲しい、と思うのは当たり前です。(オケの試験はみんなカーテン審査でしょ、というツッコミは重々承知の上)

教授採用試験についてはもう、実力はもちろんのこと、この「皆と無難にやっていける」能力はかなり重視されている気がします。具体的にこうするべきだ、とはここでは書きませんが、性格が柔軟で良いことはかなり大切だと思います。

大昔、ある、有名なオーケストラに、かなりはっちゃけた、すごい性格の女性が入団したのですが(うまいから)彼女の性格は、採用試験期間でかなり変わりました。「そんなに良い人を演じて大丈夫?壊れない?」と周りは心配したのですが、その後、かなり普通の優しい人になったようです。絶対に試験期間に残りたい、という強い意志が、彼女の性格まで変えたのでしょう。

で、何が言いたいかというと、性格は大事だよ、人間関係も大事だよ、ということです。
どんなに自分にプライドがあっても、そんな態度をとるほど、周りから見ると実際は大したことがない、ということが多いものなのです。本当に世界的レベルの素晴らしい才能と技術を持っていれば、どこでも即採用されるものだから。

しかしながら、これを悪用するすごい人たちもいる事は事実です。内部の人に取り入ってベタベタしたり、そういう人たちは採用されてもいつか絶対にボロが出ます。だから、実力がないのに、こっちだけ頑張るのは本末転倒で残念です。

音楽の世界に限らず「社会に出る」ということは大変だということですね。多くの荒波を乗り越えて、学生さんたちが立派に巣立つ事を、応援せずにはいられません。