ピアノやヴァイオリン、教師に必要なスキルとは?音大教授試験を見て学ぶこと

ピアノとヴァイオリン

ウィーン国立音楽大学は国立であるため、ほぼすべての試験は公開で行われます(これは音大の事務局が私に言ったので本当)私が喜んで足を運ぶのは、ヴァイオリンの教授の試験です。

まずは自分の演奏、30分。そして2人の違う生徒のレッスンをします。合計2時間で、そのあとは審査員の教授達と面談となります。この面談は詳細に渡るので(給与など)観客はホールから出なければいけません。これはもう、楽器は違えど、見学しているととても勉強になります。

まず、演奏ですが、これはかなりの差が出ます。
現役のソリストは本当に上手。もちろん上手ければ上手いほど良いです。ソリストの経験が豊富なのも素晴らしいですが、オケのコンマスの人など、コンチェルトを教えるときに、かなり有効なアドヴァイスができるので、これはとても有利となる時もあります。

で、数人見てみて、どの人に習いたくないかな、と思ったらもう、一目瞭然です。

一番アウトなのは、「しゃべってばかりの人」です。
巨匠レヴェルの教授が、かなり弾けるソリストに指導する場合は、こう言う場面もあるでしょう。しかしながら、それ以外のケースの方が多いのです。まずは上手くさせなければいけない。即戦力にうんちくは必要ありません。

どうするべきなのかを具体的に説明し、それを自分で弾いてみせることができない、これもアウトです。逆にかなり弾けても、自分で素晴らしいお手本ばかり見せて酔ってしまい、学生に弾かせない、これもダメです。

理想は、自分でもハイレベルの演奏ができ、お手本を見せることが出来て、非常にわかりやすい言葉で説明することも出来ること。そして、それを生徒に弾かせ、その場で生徒が改善できることです。

これ、できる人とできない人の差ははっきりしています。

まあ、諸事情があって、どんな人が採用されるか、結果はいろいろなのですが、とにかくこれを見ていると、「どのように指導したら、学生が上達するか」が手に取るようにわかるので興味深いです。

これは、ピアノの趣味の生徒相手でも同じことです。
先生が、うんちくばっかり並べたて、レッスン中に説明してばかり。自分で弾いて見せることができない、言葉で改善すべきところを「わかりやすく・具体的に」説明できない。その場で生徒が全く治すことができない、と言うのは問題なのです。

専門の人、趣味の人、生徒側のレベルにもよりますが、大切なポイントは同じだと思います。
だから、「やってきてね」のレッスンで生徒は上達しません。楽器を教えると言うのは、自分も常に勉強し、練習していかなければいけない、大変なお仕事です。教師としての自分が中心にならないよう、いつも気をつけたいなと思っている今日この頃です。