私の時代(昭和)でも、そして多分今でも、日本で楽器を習ってクラシックの世界で専門を目指そう!(具体的には音楽大学進学)というご家庭の収入は多分、中から上の部類ではないでしょうか?だって、お金、本当にかかるんですもん。
ここに書くまでもありません、音大卒業生の「今までどれだけお金がかかったか」アルアルですが、幼いころからの毎週のレッスン料、発表会などの費用(ヴァイオリンなど、伴奏の先生が必要な場合はさらに倍!)高校生になったらソルフェージュや副科のレッスン、地方にいる子はレッスンに飛行機で通う、など、全くそんなスゴイことが普通の世界です。
私は東京出身なので、交通費と宿泊費がなかっただけ、かなり恵まれた方だったと思います。
レッスン代だって、有名音大教授のレッスン料は、日本でもオーストリアでも安くはありません。総合してみると、日本の方が高い気がしますが、まあ似たようなものです。ワンレッスン、数万円なんて普通です。
さて、何が言いたいかというと、「音大に行くにはお金がかかるんだよ〜」という事でなく、これを自分の身で体験した音大卒の先生達が、いざ、自分が教える立場になって、ショックを受けるのが、初対面の親御さんに、お月謝が高いとか、挙げ句の果てには値切られた時です。
「ワタシのお月謝、音大の教授みたいに高いワケでもないのに、なんで〜〜〜!?」です。
まずは、一般社会の、音大とかそういう世界の人が周りにいない人達にとって、私たち(正確に言えば親ですが)の経験してきた出費は、ありえないレベルのものだったりすることを、受け入れることです。一般の人たちに、「ワンレッスン、3万円払ったことがある」なんて言ったら、大抵はどびっくりされます。なので、初めて顔を合わせた親御さんが、「高すぎるわ!」とおっしゃった時に、怒ったり、呆れたりしないことです。まずは冷静に、
「うちのお月謝が、お宅のご家庭にとって高すぎるのであれば、ピアノはやっぱり長く続けることに意義がある楽器なので、合うお教室をお探しください。」と丁寧にご説明して、お断りするのが最良だと思います。
だって、普通の音大勤務でもない人のピアノのお月謝を「高い」と思われるのならば、ピアノ購入もまず無理です。
発表会やなんやで、日本は特にお金がかかると思います。
はじめに「高いわ〜」「安くなりませんか?」とおっしゃる親御さんの場合、(まあ、それでも日本ではそういう親御さんはいないと思いますけれど。だって、実際、私も日本でそういう目にあったことはない。でもこっちでは普通にいる!!!)すごく若い頃は、お金欲しさに受け入れたこともありましたが、大抵は続きませんでした。
ただ同然のお値段で教えてあげられなくてかわいそう、なんて思う必要は全くありません。なぜなら、安く教える人はこの世の中、結構たくさんいるものなのです。やっぱり相性というものはあります。
ピアノやヴァイオリンは長いおつきあいになるのが普通です。
本当に幼稚園から大学まで、なんてざらにあります。それが続くのはやっぱり経済的な相性もあります。
はじめ、ちょっと無理かな、と思ったら、断る勇気を持っても全然罪ではないので、頑張ってください。